王子に転生

木苺

第1話 目覚め

目が覚めた。


部屋はまだ暗い


とりあえず トイレにでも行くか、と起き上がり、電灯のリモコンを手探りする。

ない。 違和感しかない。


???


まだ眠いのに このまま 寝なおすか・・・

 あっ でも のど乾いた。


しゃーないなぁ・・


ベッドから降りる。

 毛足の長いふかふか絨毯。


 おかしい。 うちの絨毯は 純毛100%の緞通なんだ。

  だからクッション性が高い=防音・保温・調質性は高いけど、そんなに毛足は長くない。


薄暗い部屋を見まわし、細く灯の見えるカーテンを目指し、開けてみた。

 さぁーっと差し込む光

 といっても まだ おぼろだな。

 ガラス窓は サッシではなかったがとりあえず開けてみた。

  雰囲気的に 夜明け前の燭光のようだ。


とりあえず 明かり取りのためにカーテンを全開にする

 重い。どっしりとした織物生地なので遮光性は高いが、洗濯がたいへんそう。


とここまで述べたら お気づきかもしれないが、私は女だ。


コンコン 扉をたたく音がする。

「だれだ?」と誰何すいかする前に人が入ってきた。


「王子 どうかなさいましたか?

 睡眠を妨げるようなことがありましたでしょうか?」


凛々しい騎士姿の男から声をかけられた。


「夢を見てな。まだ頭が混乱している。

 悪いが 明かりをつけて、茶をもってきてくれ」


「かしこまりました」

騎士は 燭蝋しょくろうともし、壁際によって ティーセットを取り出し、サモワールで茶を入れた。


王子? わが姿を見ると ズボン・シャツというパジャマ姿だ。

 これでは 性別がわからん。


少し肌寒いので ベッドの方を見ると、かごに入ったガウンが目に付いたので

それを羽織って、部屋のソファに座った。

 ソファ一つにティーテーブル一つ

 ということは ここは 完全に私の個室らしい。


ソーサ―にカップとスプーンを乗せ、ミルクと砂糖ツボと一緒に

騎士は テーブルに上にお茶セットを置いた。


「悪いが 熱いおしぼりが欲しい。

 なければ濡らしたタオルでもよいが」


「医者を呼びましょうか?」


「いや いい。

 少し スッキリしたいだけだから」


「かしこまりました」

騎士は 隣室に入り 濡らしたタオルを持ってきた。


冷たい。

でもおかげで この部屋が 水場、今の所それが風呂・トイレ・ただの水場のいずれかはわからないが、につながっていることが分かった。


おしぼりで 手を拭き 思ったりよりも大判だったので 顔もふいてから

紅茶を口にした。


「もうよい 下がれ。

 気を使わせて悪かったな」


「はっ」騎士は一礼して出て行った。


ふー やれやれ。

 弱みを見せてよい立場なのか ダメな立場かどっちだろう??


 どーせなら ボンボンでチヤホヤされて わがまま放題の利く立場で

 でも将来は権力者としての椅子が用意されている立場ならいいけど

 甘いだろうなぁ・・


 貧乏領主とか 立場の弱い王子とか 暗殺者に狙われるとか 自由の利かない立場だと困るなぁ。

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