第23話 御学友の増加

「補講Ⅰ-5倍」の学習を円滑に進めるために、メリー・マリモ・トシの3人が御学友枠で王子棟の1階に入居することになった。


野郎ばっかりの宿舎に女子が入居するのはどうよ?と思ったら、

女の子二人は同じ部屋で専用風呂つきだから大丈夫だってさ。

ちなみにこの専用風呂の反対側にも もう一つ2人部屋月なっているので

もう一組女の子の入居はOKだとか。

 そして女子風呂は4人の専用共用風呂になるんだって。


じゃ 女子ご学友がさらに増えたら?って尋ねると、それはその時に考えますってさ。


さらに「補講Ⅰー3」と言う授業もできた。

これは3・13・23日に開講されて、消耗魔法とか 人の体をムズムズさせるとか

生体に直接働きかける特殊攻撃魔法とそれへの防御・対処方法の授業


参加者には当然、3A 3Cの生徒が含まれていた。

 つまり 玉入れの時の 遅延性のムズムズ魔法と消耗魔法の実行者たちだ。


サリー(3A):遅延性魔法だけでなく 魔法の持続時間や発現までの時間を調整できる


トッド(3A):ムズムズさせたり 発熱させたり 体調を変化させるのが得意


ガー(3C) :消耗魔法


メディ(1C):体調を整えるなど癒し系の魔法を期待されている子


そこに 僕とムサシとメリーとマリモも加わる。

なぜキサラギが居ないかと言えば、彼は政策立案に関連する講義を優先したいからだそうだ。確かに彼は 魔法使いといういよりは官僚を目指し停るものな。


と言うわけで 御学友に 1年女子2人 3年女子2人、2年男子1人 3年男子2人が加わった。


ちなみに女子は(メリー・マリモ)(サリー・メディ)の組み合わせで同室となった。

男子は個室3人で 風呂は護衛や番兵たちが使う大浴場(別棟)である。

 これは男子差別ではなく、将来近接職場で働くことになるであろう人々と接する機会を持たせようという職業教育の一環なのだそうだ。 ほんと?

  ただの経費節減とか 人物査定の一環じゃないよね??


・・

これまで 男子学生3人だった王子棟に 新たに7人の学生が加わった。

おかげで 寮の食堂がオープンした。

これまで 僕もキサラギもムサシも自分の部屋についたキッチンで自炊していたが

これからは 朝6時~6:40 夕方6時~7時の寮食タイムが利用できるようにんった!


一般の寮よりも朝食時間が1時間も早いのは 朝の補講があるから。


僕は これまで 補講と自習がメインだった関係で寮食はおろか学食も利用したことがなかったので、寮の食堂の利用は新鮮だった。


朝食は 食堂に入る時に「おはよう」とあいさつすればいいのだろうけど

夕食の時はなんといえばいいんだ?


「やあ! とか ここいいか? とかが 挨拶変わりだな」トッド


「おれは いつも黙って入って 空いてるとこ探して 黙って出てた」ガー


「誰かの横に座る時は、失礼しますと言って軽く目礼かしら?」サリー


「人の出入りが激しいから いちいち挨拶していたら飯が食いずらい」トシ


「そのへんは わりとテキトー」キサラギ


「俺はいつも知り合いと一緒に学食に行くから ほかの人間は無視して

 空いてるとこを探す」ムサシ


「食堂って 別に全員そろって席について そろって席を立つ会食ではないから

 成り行きに任せば?」キサラギ


「でも 僕たち これから親しくなる予定でしょ?」アカツキ


「よせやい お前が入ってくるたびに 規律してようこそ!とかこんばんわ!とか言わせる気か?」ムサシ


「それは ない! ない」アカツキ


「だったら 適当でいいじゃん。 考えだしたら 絶対ややこしくなる」ムサシ&キサラギ


「そういうものか?」アカツキ


「そういうもの」ムサシ 「そういうものだよ」キサラギ


これが初めて 皆と一緒に夕食を食べた日の会話だった。

ちなみに この日は 僕が6時5分ごろ食堂に行くと 全員座って待っていて

僕が席に着くと同時に全員起立出迎えてくれた。


これからは 寮の食事は めいめいで入室して 入室した順番に料理を受け取って

空いた席に自由に座ることととなった。


食堂には 2人用の四角いテーブルをくっつけて長テーブルにしてクロスをかけたものが 横長にデデンと置いてあった。


10人ぐらいだとお互いの顔を見ながら食べるにはちょうどいいけど、

遅れて入ったり先に席を立つときには ちょっと不便だなぁと思ったら

翌朝には 2人用x2と6人用に テーブルが分かれ、女子4人が 同室の者同士くっついていた。

 もちろん女子テーブル二つは 人1人分だけあけて近づけてあったけど。


そこで僕たち男子も相談して 4人用テーブルが 人1人の分の通路を挟んで並ぶように置くことにした。


その方が ゆったり座れて 着脱しやすくて お互いの距離は長テーブルの時とそれほど変わらないから。


食堂は広いから 好きなようにテーブルの並び替えができたけど

これ 狭い食堂だったり 大人数だと どこに座るかからいろいろ考えなきゃならなくなるから大変だなぁっと思った。


顔見知り程度の付き合いの集団が利用する食堂ほどやっかいなものはないなぁ・・


「会食で席順がきっちりと決まっている方が 余計な気を使わなくていいから助かる」っていたら 女の子達が同意してくれた。


「私たちのお茶会で 一番 困るのはそこなんです」サリー


「形式ばらないことが建前なので 席は決まってないのですが

 グループとか派閥とか序列とかで 微妙に 暗黙の了解のような

 でも あまりにもローカルすぎるルールがたくさんあって」マリモ


「新参者はいつもハラハラドキドキ」ため息をつくメリー


「あら 新参でなくても 礼儀正しい関係だと 気を遣うポイントは多くてよ」マリモ


「その場合の 『礼儀正しい関係』って、部外者ってことかい?」トッド


「そんな分り切ったことを お聞きにならないで」サリー


「その点 男子は 身分とか仕事の序列とか いつだって力関係の基準が明白だから気楽だな」ムサシ


「その基準から 評価対象外にされると ずーと序列は低いままですよ」トッド&キサラギ


「そのために 親友とか無礼講って枠組みがあるんじゃないか!」ムサシ


「男はさ、自分の仕事の結果を認めさせれば、そこで新しい 男の評価基準を産み出せる自由さがあるんだよ。

 でも 女の子はさ、常に男の好みや価値観でその存在を脅かされ 男の支持を得た女が勝つみたいなとこがあるから困るんだろ。

 仕事のできる女は役に立つ。

 でも 女の序列は その場にいる男の主観で決まる

 でも役に立つ人間がさぼるのは許さない もっと働けって男のエゴが一番の問題だと僕は思う」アカツキ


女性4人は 互いに視線を絡ませ ほほを染めた。


「アカツキみたいな進歩的な考えの男上司に引き立てられた女性の部下は

 上司が変わったとたんに 新しい上司や同僚男子からいじめられ 同僚女子から冤罪を着せられて排斥される運命が待っているって現実を アカツキはわかってるのか?」

ムサシがまじめな顔をして言った。


「だったら 僕は 組織のトップに立つことを目指し、一度トップになればトップであり続けて そういうくだらぬ男に後を継がせぬように そして下らぬ男の居ない組織になるように 努力を続けるよ!」アカツキ


「でも そういう男って しばしば 男の権威を利用するのが大好き女子の陰謀で

 排除されたり命を奪われると言う現実も しっかり考慮してたちまわれよ」キサラギ


「そうそう 理想に燃える男に協力した女の子の末路は たいがい悲惨なもんだぜ」ムサシ


「王子様方は いつも こういう話をしているのですか?」メリー


「ていうかさ 僕の理想の現実化に協力してくれる仲間にご学友になってもらいたいんだ。

 それと 女子の立場からの協力もあると嬉しい

 もちろん 女の人を使い捨てにする気は全くないけど

 僕の気づかないことを ビシビシ指摘してくれる人は性別を問わず歓迎だよ」アカツキ


「新たな評価基準を打ち立てるという考え方は気に入った」トッド・トシ


「使い捨て反対派に一票」ガー


「最初のとっかかりは 補講Ⅰで 実力を積み成果を上げることかしら」サリーの言葉にほかの女の子達もうなづいた。


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