第7話 部屋割り
学園の寮は三か所に分かれていた。
貴族用と庶民用と王族用とで
予備校の教育内容も 王族・貴族と庶民が一緒に学ぶ共通科目と、身分別・職業別科目に細かく分かれていた。
予備校では 能力主義と身分制を両立させるためのバランス感覚を身に着けさせることも重要な教育目的らしい。
これは ハニトラにひっかかった第一王子の事件を教訓として打ち立てられた新方針なのだそうだ。
厩や朝夕食用の寮の食堂は、身分別にある。
ちなみに王族とご学友だけは 朝食は自炊である。
キッチン付きの部屋と護衛が割り当てられているのも王族とご学友だけである。
昼食は学食なので貴族と庶民も 校内にある同じ学生食堂(略して学食)を使う。
「王子には ここで 暗殺対策をしっかりと身に着けていただきます
これまでのように侍女や護衛頼みでノホホンとされては困ります」
(へいへいエドガー あんたの指示に従いますよ。)と思ったら
『外食の際の注意事項』(すでに教育済み)の暗唱をさせられた。
基本的に 飲み物は、封印された瓶の中身をマイカップに移して飲む
カトラリーも持参のものを
食品には すべて浄化魔法をかけてから食す
のだそうだ。
カトラリーとカップを持参するのは、行軍の練習もかねて、それと食器に毒をつけられた場合、浄化魔法で対応しにくいからだそうだ。
見落としその他が心配なんだと。
私は マイカップ類の衛生維持の方が気になるが、
マジックバックの中は時間停止でこぼれることもないので、
寮に戻ってから 食器洗いをするんだそうだ。
はぁ~ 食器洗い嫌いなのに。食洗機頼みだったのに~~~~~~。
どおりで寮の5人部屋には しっかりとキッチンが付いていたはずだ。
その概要は
キッチン(流し・調理台・コンロ、食器棚・食料保管庫つき)
洗い場が広々としたバスルーム(ボイラー付き)
トイレ:大小便器が並んでいたが個室じゃないので 見えるよね><
バスルームとトイレの間には、鏡つき化粧台と洗面台が5組ついた脱衣所
護衛用の寝室(壁の両側に2段の寝棚とロッカー・ベッド上下に物入つき)
私の寝室
玄関&応接室兼食堂
と七区画に分かれ それぞれにドアのついたメゾット風のお部屋。
まあ 男5人の共同部屋(マンションの一区画)と思えばいいか。
玄関は 広々としていた。
これなら靴磨きスペースもゆったりだな。
靴箱には 通学用の革靴・長靴・編み上げ靴が5人分と別の棚に地下足袋などが入っていた。
地下足袋はシノビ用らしい。つまりそこは 護衛達専用の私物入れなんだと。
客人が来ても 玄関で対応するようにと、護衛達からきつく言われた。
やーれやれ。
そしてご学友など招待客は 私の護衛の立ち合いがある時のみ、玄関に続く応接室まで上げて歓談してよいそうだ。
ちなみに私の部屋は 王族専用で 王族が学園に居ないときは使われないらしい。
というか 私のいる棟そのものが 王族がいないときには閉鎖されているらしい。
つまり 一般の学生寮敷地内にある貴族棟・平民棟とは別に、王族用敷地があってそこに第3の学生寮(王族専用)があったのだ!!
王子の居室は3階にあり、ベランダはちょっとした屋上庭園&物干しになっている。
建物の回りに木々はないので 屋上に侵入するには、階段または壁面を登ってこなくてはならない。
ご学友たちの物干しは 王子棟の周囲の空き地だ。
王子棟の入り口には歩哨番兵詰め所に挟まれた寮の玄関がある。
1・2階の階段の登り口は常に施錠されており、そこにも番兵詰め所がある。
登り口の鍵は 私と私の護衛のみが持っており、その他の者達は、ご学友も含めて
階段を登るには詰め所で氏名・時間等記入し本人確認を受けて開錠してもらわなければいけない。
王子棟の2階は、ご学友たちの部屋。
王子よりも付き添いが少ない分、部屋も簡素になっているらしい。
1階は ご学友その2(総合成績の高い者 一芸に秀でた者 先輩とするにふさわしい人格者など選抜された学生)の部屋らしい。
現在 1階は空いている。
つまりまだ誰も選抜されていない。
身分制のすごさに 眼が点になった。
王子棟の裏側が、王子専用の厩と御庭番(馬の世話係ほか)の居住区だった。
王子棟区画を示す塀の傍には 門番小屋まであった。
学園内で ここまで厳重警備するとは!と呆れたら
第2皇子は 寮から呼び出されて 寮の近くで死んだからだと。
そのわりに王子棟の中にご学友やその護衛の住居まであるのはなぜかと言えば・・
「王子が側近との付き合い方を学ぶように、側近となる者にも王族・貴族・官僚との交流の持ち方を学んでいく必要があるからです」エドガー
つまり、第2皇子のように 王子が学友に呼びだれてふらふら出ていくことがあってはならない。
王子は 必ず 自分の侍従を取次に使わねばならない。
側近が王子の部屋を訪問するにもTPOに応じた手続きは守らねばならない
等々 こまごまとしたお約束事を学び身に着けるために、同じ棟の別の階に住むのだそうだ。
さらに 王子棟居住者が一般学生とつきあうのは、学園の教室内限定になったそうだ。
つまり 身分を超えた交流は衆人環視の中でやれってことだ。
そして 王族が傷ついた場合、その場に居合わせた者全員が死刑だから
学園生は 全員がんばって護衛役を務めなければいけないそうだ。
「これで けんかを吹っ掛ける人間が居たら いかれてるとしか言いようがないですねぇ。
だからと言って王子、あなたから喧嘩を吹っ掛けてはいけませんよ」って、
エドガー 君はほんとに口が悪いね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます