第021話
ライアを抱きしめ「ごめん、ちょっと待ってて。」と言い、シオリに睡眠の魔法をかけ眠らす。
シオリを抱え、大広間へ繋ぐゲートを開き、未だ眠っているミヨの隣に寝かして戻る。
ぐずぐず泣いているライアを彼女の頭を抱え、胸に引き寄せて再度抱きしめる。
「……お米もね。」
ライアが顔を埋めながら話し出した。
「いっぱい作ったんだよ。暖かくても冷めていても美味しいおにぎりに合うお米、チャーハンに合うかためなお米、パエリアやリゾットに合うお米、もち米も他にもいっぱい作ったんだよ。」
「俺が食べたのは一部だったのか。」
「うん。ケイマの故郷の味を再現したく、ミズホ大国にお米や料理の勉強をしに行ったの。」
ミズホ大国、過去に召喚された日本人で米農家の青年が魔王が生まれた地域で見つけた稲を魔王討伐後、その地域を住み着き、稲を育てながら魔物を駆除し地を整備し周辺を住みやすくしていたら、人が集まっていき、なんやかんやあって村から街、魔王がいた広大な地域を開拓して、開拓されできた主食がお米の大国。
二度目の召喚で輸入されたお米を見た時にミズホ大国の事を風の大精霊が教えてくれた。
「ライアのお米ね、三年連続金賞になっているの。」
「三年連続、それは凄いな。」
ライアの頭を撫でる。
ライアが頭をぐりぐりと動かしながら続ける。
「お米も料理もいっぱい食べてもらって、美味しいって、料理上手くなったなっていっぱい褒めてほしかったの。野菜や果実も、肉や魚の事も勉強していっぱい育ててきたの。」
ぐりぐりが止まる。
「精ある料理も教えてもらって、再会した時に食べてもらい、その夜にケイマと交尾って思っていたのに、ミヨをお姫様抱っこで帰ってきて、シオリ達を救助してきて、ミヨ達を鍛えて、そういうことができないままで、今日、ケイマから誘われた、と思ったのに、」
ライアが強く抱き締めてくる。
「……嬉しかったのは、ライアだけだったのかな?」
「そんなことない。」
即答する。
「俺もライアと再会できて嬉しかった。」
ライアが顔を上げて俺の顔を見る。
「最初の塩おにぎり、品種改良と炊き加減も良いのか良いかたさで塩加減が最高に絶妙で美味かった。子供達への気配りもでき、料理の手際も速く良くなっていて、良い嫁さんになるなって思った。」
「……ふふ。」
ライアが小さく微笑む。
「……」
「……ん?」
沈黙にライアが首を傾げる。
「……色々もう少し待ってくれ。」
「うん、いいよ。ケイマがあっちに戻るとかじゃないから、待つよ。」
「ありがとう。ダンジョン攻略しコア取って、この国を出たら、結婚しよう。」
「わかった。」
ライアと見つめ合い、自然と顔が近づく。
ライアの頭にキスをする。
「もぉ……」
膨れっ面しかし嬉しげなライアへ再度ライアの頭にキスをした。
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