第012話

 俺はライアと共に子供達がいる大広間に向かい、手前で女子達が料理を持って大広間に入っていくのを見た。

 大広間を出入りする女子達が俺に気がつき声をかけてくる。


「あ、カワカミ君、おかえり。」

「「「おかえり(なさい)。」」」

「おう、ただいま。」

「もう運ぶだけだから待っててね。」

「あぁ。」

「手伝ってきます。」


 ライアが女子達の手伝いに行った。


 大広間と料理を運ぶ女子達から食欲を刺激する美味しそう匂いが流れてくる。


 俺は女子達に声をかけられながら大広間に入った。

 大広間のテーブルに載っている料理を見て、漂ってきた匂いからわかっていたがダークマターを作る女子がいなくてよかったなと安堵した。


 いや、料理をするとなぜかダークマターになる女子が異世界にいたんだよ。

 彼女は調合は上手くできるのに、料理だとダークマターになるんだよな……

 「失敗しちゃった……」と泣きそうになるから頑張って食ったが、隠れて回復魔法をかけたんだが、数分から数十分めまいやら体調不良は治らなかった……




 テーブルの上には一人一人の前にカレーライスがあり、大皿に唐揚げやチキンカツ、とんかつに、ハンバーグがそれぞれ大量に、他にも目玉焼きや卵、レタスとトマトのサラダ、ポテトサラダ、春雨サラダなどビュッフェのお店のような感じで置かれていた。


「美味そうだな。」

「美味そうじゃなく、美味しいだよっ!味見でバッチリだよっ!ケイマ君の口に合えばいいんだけど。」


 俺に寄ってきたミヨが最後だけ不安そうに言った。


「食っていいかっ?」

「こらっ!家主がまだ座ってないでしょっ!」

「俺待ちだったか、待っててくれてありがとう、料理もありがとうな。待ちきれないやつらがいるから頂こう。いただきます。」


 空いていたところに座って言った。


「「「いただきますっ!」」」

「「「いただきます。」」」


 待ちきれないカネウチ達ががつがつ食い始めた。


「うめーな!」

「「「美味いな!」」」

「「「美味しい!」」」


「どう?ケイマ君。」

「あぁ、美味しいよ。」

「よかったぁ。」


 ミヨは俺の言葉に胸に手を当てほっと息を吐いた。


「ケイマ君、ハンバーグは私が味付けしたの。はい、あーん。」


 いつの間にか隣に座っていたシオリが一口サイズに切ったハンバーグをスプーンに乗せて俺の口元に持っていく。

 俺は恥ずかしいとか思う前にシオリから感じる威圧感に食べなきゃいけないと本能に訴えられて、口を開けてそれを食べた。


「……美味しい。」

「わあ、よかったぁ。」


 シオリもミヨと同じく胸に手を当てほっと息を吐いた。

 魔王を二度も斃してきた俺は普通?の女子に恐怖を感じながら、食事をしていた。


「美味しくできたねー。」

「素材が良いのかな?」

「私の腕よっ!」

「あっははは。」


 周りの皆は誰も俺達を気にしていないで、楽しそうに食事をしていた。


 俺は最初は美味しく感じていたが、無理やり食べされた感があり、途中からあまり味を覚えていなく、ただ雛が口にご飯を入れられるようにあーんとされ食べていた。




 気がつくと、皿が空になっていて、食器が片付けられ、テーブルも脇に移動そていた。

 皆が俺の方を向き、正座をし頭を下げた。


「「「カワカミ(ケイマ)(カワカミ君)!俺達(私達)を鍛えてくれ(ください)!」」」

「鍛えるか。いいぞ。」

「その間雑用でも何でもする!」

「うん。何でもするから!」

「「「だから鍛えてくれ(ください)!」」」

「あいつらみたくならなければ、いいぞ。それに強くなりたい気持ちが伝わってくるから、雑用とかしなくても鍛えるぞ。」

「「「お願いします!」」」

「なんなら、わ、私の身体を、ひぃっ!」

「ルカちゃん……私の身体を、なに?」

「ひぃっ!な、なんでもないわ!」

「そう……。」


 ギャルリーダールカが余計なことを言い、シオリにただらなぬ威圧感を出させる。

 ルカも他の皆もぶるっと身体を震わした。


「……何もしなくても鍛えるって言ってるんだが、俺の声は届いていない?」

「皆、必死過ぎてパニクっているんだよ。」


 ミヨはクラスメイト達と先生の様子を見て俺に言った。


「そうか。『鎮静』」

「「「!」」」

「落ち着いたか?」


 子供達と先生は俺に鎮静の魔法をかけられ落ち着き、頭を上げこくりと頷いた。


「強くなりたい気持ちが伝わってくるから、雑用とかしなくても鍛えるぞ。」

「「「ありがとう!」」」

「だが、あいつらのようになったら、俺は責任を持って対処するから。」


 子供達と先生は俺の言葉に激しく上下に首を振る。


「あと途中で投げ出しても見捨てたりしないから、気楽に構えて過ごしてくれ。ちゃんとあっちに帰るまで面倒を見るから安心してくれ。」

「「「あ、ありがとう。」」」

「おう。じゃあ、解散だ。風呂に入るなり、ボードゲームをしたり好きにしてくれ。明日は六時にこの部屋に集合で。よろしくな。」

「「「よろしく(お願いします)。」」」

「あ、男子、寝るところと風呂の場所を教えるからついてきてくれ。女子はライアに。」

「「「おう(うん)(はい)。」」」


 俺は男子達と大広間を出て男子の寝室と風呂場を案内する。

 女子達はライアの後をついていった。

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