第011話
「結論から言うな。日本に帰れるーー」
「「「帰れるのっ?」」」
「「「本当かっ?」」」
ほとんど子供達が喜びの表情を浮かべながら俺に聞いた。
「帰れるが、今すぐというわけではない。地球とこの世界が重なった時に魔法を発動しなければ違う世界に転移することになってしまう。」
「本当に帰れるの?」
「俺は違う国だが、召喚されたことがあるんだ。実際に帰ったことがある俺が言うんだから、本当だ。」
「「「えっ?」」」
「「「はぁ?」」」
「だから魔法が使えるんだね。」
子供達が俺の言葉に見開き驚き、俺を凝視する。
「そう。無事帰ってきて平穏な生活を送っていたら、また召喚されて嫌な感じがしたから、細工をして死んだふりをした。このようにな。」
俺はミヨにやったことを子供達にもやって見せた。
子供達は「「「すげー(すごい)!」」」と大興奮した。
子供達を落ち着かせ、話を続けた。
「だから俺もミヨも生きている。クズな国だから早めに助けに行こうとしたら、全員が集まっていて、今に至るってかんじだな。皆には日本に帰るまでどうするか決めてほしい。先生と女子と一部の男子は無条件でここで住んでいい。この世界で生活してみたいと言うなら援助しよう。質問はあるか?」
「一部の男子に俺は入っているのか?」
「「「俺(僕)は?」」」
カネウチとアイサカ達が聞いてきた。
「お前らは入っている。入っていないのはユウヤとあの場でニヤニヤしてた奴らだ。」
「「「よかった……。」」」
「……?!」
「「「はっ?!」」」
カネウチ達は安堵の表情を浮かべほっと息を吐いた。
反対にユウヤ達は怒った表情で声を荒らげる。
「……!?……!」
「なんで俺達が入ってないんだよっ!」
「なんでだよっ!」
「なんで入ると思っているんだ?」
「はぁ?クラスメイトなんだから無条件で住ませろよ!」
「レイプを意気揚々としようとしてた犯罪者を普通無条件で住ませるか?」
「そ、そいつらだって本当はやりたいとか思っているだろっ!同じじゃないかっ!」
「まぁ……やりたいとは思ってる、な。」
「まぁな……」
「死ぬまでには、ね……」
カネウチ達は頬を掻いたり、目を泳がせながら答えた。
「ほらっ!同じだろっ!」
「「「……」」」
女子達はカネウチ達に冷たい瞳を向けた。
「い、いや、両想いで同意の許で、だぞ!」
「そうだっ!こいつらみたく無理矢理なんてしないぞっ!」
「犯罪者になりたくないしな。」
「「「ふーん……」」」
カネウチ達は女子達の若干冷たくなくなった瞳にほっとする。
「お前らとあいつらは同じか?違うだろ?」
「っ……。」
「別にあの場所に戻してもいいけどな。」
「「「!」」」
「……!……!」
俺はニヤニヤ組やユウヤの頭はお花畑なんだろうなと呆れた。
彼らが一瞬ニヤリと口角を上げ笑ったのだ。
自分の都合がいいような妄想をしているんだろうと顔を見て思った。
「……じゃあ、戻してくれっ!」
「「「俺も(僕も)。」」」
「……!」
「わかった。」
「カワカミ君、駄目よ。あの国に返しては駄目よ。」
「先生。」
「邪魔すんな先生!」
「ここは学校じゃないんだ。先生には関係ないだろ!」
「そんな……」
先生が悲しみの表情を浮かべて俯く。
「先生、こいつらはこの国が良いと言っているんだ。自分で戻りたいって言ってるんだ。その先何があっても自己責任だ。先生のせいじゃない。先生が責任を感じなくていいんだ。」
「でもーー」
「黙っていろっ!カワカミ!早く戻せ!」
「わかった。皆はゆっくりしてくれ。わからないことがあったらライアに聞いてくれ。あ、ユウヤを運んでくれよ。」
先生はニヤニヤ組を悲しい悔しい複雑な表情で見ていた。
俺ははニヤニヤ組とユウヤを連れ出して、訓練場に出る扉を出した。
訓練場は未だ騎士達が回収されておらず、呻き声が響いていた。
死傷者を見て戸惑ったニヤニヤ組とユウヤを押して扉を潜らせた。
俺は全員を出した後、扉を消して、気配を隠しながらその場を離れ、あるところを探し始めた。
訓練場にいなかった騎士と魔法使い達がやっと訓練場の方へ走っていくのを見かけた。
俺は警備が杜撰で対応が遅いなと思いながら隠れてそれを見ていた。
通り過ぎて行ったのを確認、後続もいないことを確認して、またあるところを探す。
見張りというものがいない。クズな国の心配をしても意味ないが警備体制が酷すぎる。
こっちとしては楽できるからいいが……
ダンジョンを隠す建物に着き、地中を探知する。
すると大きな空間が発見した。
そこに繋がるゲートを作り、その空間に入る。
そこは召喚された部屋。
俺は床に刻まれた魔方陣を見る。
ダンジョンから漏れ出す魔力を吸収し溜め込む陣も使っているのかと陣を解析してわかった。
全て解析するのは後にするかと、床のごと魔方陣をくりぬいて収納の魔法で仕舞った。
ライアやミヨ達がいる異空間のゲートを出して扉を潜り、召喚部屋に土の魔法を使って土一杯隙間なく固めながら敷き詰めてから扉を閉めた。
ライアが俺の帰りを察知し玄関で待っていた。
「おかえりなさいませ。」
「ただいま。皆はどうだ?」
「夕飯を食べていなかったようで女性達が夕飯を作っています。男性陣は魔力感知を試していたり、トランプをしたり寛いでいます。」
「男子は何処に行っても変わらないな。」
俺は修学旅行でも異世界でも変わらずの男性達に笑った。
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