第010話

 俺とミヨが運ばれていった後、魔力量を調べられて一番多いナカムラ ユウヤが優遇され、そこそこのやつらも優遇された。

 さらに優遇されたニヤニヤ組は媚売りまくってたんだとさ。


 食事も部屋の質も全然違ったようだ。


 先生と気の強い女子に続きギャル達が「子供達です戦いなんてさせないでください。せめて同意する子だけでお願いします。」「私達を家に返せっ!」「男子だけ優遇するなんてズルいっ!」と言ったり文句を言ったりしていたが、国王達は全く耳を持たなかったようだ。


 それでもお願い、愚痴、文句をしつこく言っていたそうだ。しつこいそれがクズらの癪に触ったんだろう。


 後々やるつもりだったと思うが、先生と女子達は騎士達に押さえつけられて首輪を付けられた。


 何人かがそれでも何かを文句を言おうとした。

 彼女らの首輪が絞めつけられ、呼吸困難になるほど絞めつけられたようだ。

 命の危機の恐怖と痛みで国王や騎士達に何も言えなくなった。


 静かになったが、国王達の怒りは収まらなかったのだろう。


 全員があの訓練場に連れてこさされた。

 女子は犯すため、男子は士気向上のため。


 アイサカは助けようとして無理矢理、デリカシーのないカネウチと数人は渋々、ニヤニヤ組は意気揚々とついていった。

 ナカムラがシラキを、というところで俺参上っ!ということだったようだ。


「お前達も早々文句を言っていたら、また見せしめのため殺されていたかもな。」

「そ、そうだったのか。」

「もしくは首輪だな。」

「あー、あれなんなんだ?」

「あれつけたら女子が静かになった。少し欲しいと思ったわ。」

「確かに。」


 カネウチ達はミヨに冷めた目を向けられている。

 カネウチは視線の意味に気付かず、数人は気付き目を逸らした。


「あれは違法奴隷の首輪だ。」

「ど、奴隷っ?」

「つけた奴が主でつけさせられた奴が奴隷。奴隷は主に逆らえない。」

「そんなヤバい首輪だったのかっ?」

「女子は抵抗できずお前達や騎士の相手をさせられていたな。男子の場合は戦うことや訓練を強制、厳しい戦線に送られ、囮にされたり、死ぬまで殿をしろとか命令されたかもな。」

「マジか……カワカミ、助けてくれてありがとう。」

「「「ありがとう(サンキュー)。」」」

「「「……」」」

「子供を助けるのは大人の義務だからな、気にすんな。」

「なに言ってんだよ?同じ年だろ?」

「カッコつけてやがる。」

「女子がいないところで、まさかっ!」

「違うからな。女性が対象だからな。」

「ほんとうかー?」

「あやしいなー?」

「なんだ?なんで俺のことをそんな気を引いて、まさかっ!」

「「ちげーよっ!」」

「ふっ。」

「「「あっははは。」」」




バタバタバタッと廊下から足音が聞こえてきた。

ちゃんと乾かしている子もいたが、水が滴っている髪の子も数人いた。


「カワカミー、助けてくれてありがとっ。」

「「「ありがとー。」」」「「「ありがとう。」」」

「「「ありがとうございます。」」」

「ちゃんと髪を拭いてから来いよ。」


 俺は髪にダメージを与えないように注意して水を集める。

 皆がぷかぷかと浮く水玉を見て、口をぽかんと開ける。


「えっ?えっ?なにそれっ?なにそれっ?」

「どうなってんのっ?」

「異世界だから魔法?」

「魔法だってっ?!」

「まじっ?魔法なのっ?カワカミっ!」

「城で魔法を見る機会なかったのか?」

「見なかった。見た?」

「ううん。見てない。」

「でも魔力がどうのとか言われたような?」

「というかなんでカワカミ、魔法が使えんの?」

「うんうん。」

「どうして?」

「私達も使えるのかっ?」

「魔法美少女アイの誕生ねっ!」

「(自分で美少女って、ふっ……)」

「はぁ?誰っ?今笑ったの?」

「……」

「まぁいいわ。後でお腹が痛くなる魔法を教えてもらってかけてあげるわ。」


 数人がいやそれ呪いだろと同じことを思った。


「……腹が痛くなる魔法あるのか?」

「あるな。」

「まじか……」

「お前は思ったことを口に出さなければいいんだよ。」

「……おう、気をつける。」


 俺は耳打ちしてきたカネウチに気をつけるよう注意した。


 魔法美少女アイことキシ アイコを笑った犯人はカネウチだったのだ……




「カワカミってこんな立派な家を持っていて、ちょー強くて、魔法も使えて、よく見たら格好いい方だし、ちょー優良物件じゃね?」

「……確かに。」

「……そうだね。」

「狙うか?」


 静かにギャル達に近づく者がいた。

 ケイマに危ない人物認定されかけているシオリは何かを察知しギャルリーダーバンバ ルカの後ろに立つ。


 ギャルaユダ アリカとギャルbビゼン ベニカはシオリの雰囲気に恐怖で首を左右に激しく振る。


「ん?あんた達はカワカミが好みじゃないって?」


 違う違うと込めてギャルaとギャルbは首を左右に激しく振る。


「違うって?あ、妻になるのは私だって言ーの?」


 狙わない狙わないとさらにギャルaとギャルbは首を左右に激しく振る。


「私、マジになるから。文句言わないでね。」

「……へぇ、ルカちゃん、本気で、ケイマ君の妻になる、の?」


 ギャルリーダールカは冷えた声と共にナイフか何かを突き立てられているような錯覚を感じ、ゆっくり、ゆっくりと後ろへ振り返った。


 学校で見たこともない無表情のシオリが立っていた。


「ひぃっ!」

「……本気なら応援するよ?でもね……冗談とかからかいだとかだったら…………」


 そこで切らないでっ!何か言ってよっ!ど、どうなるのっ!とルカとアリカとベニカが心の中で叫んだ。


「あなた達もね。まぁ吊り橋効果もあるから、落ち着いて、しっかり考えてね。」

「「「は、はいっ!」」」


 ルカとギャルabは首を縦に激しく振る。


 そう言ってカワカミの側に行くシオリを見てギャル達はほっと息を吐いた。




「う、うるさいな……。あれ?なんだこれっ?なんで縛られているんだっ?んあ?畳?ここ日本……か?あ!○○!こっちにきてこれをほどけ!」


 ユウヤが目を覚まし縛られていることに狼狽え○○を見つけ、○○に助けを求めるというより命令した。

 ○○はユウヤから目を逸らす。


「おいっ!ほどけって言ってるだろ!ほどけよっ!」

「ユウヤが起きたから今から説明するから静かに聞いてくれ。」

「か、カワカミっ!お前死んだはずじゃ?おいっ!カワカミっ!なぜかわからないが縛られているんだ!縄をほどいてくれっ!」

「静かに聞いてくれって言ったばかりじゃないか。『サイレント』」

「……………?……!?………!?」


 俺はユウヤに沈黙の魔法をかけた。

 ユウヤが口をぱくぱくして縛られている両手を口や喉に持っていき触ったりして、目を見開き驚いた表情をしている。


「静かになったな。質問は最後に聞くから。」




ーーーーー

あとがき

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