第020話

「……ライアさんの勘違いだったって事?」

「そう「笑っていたのは私の勘違いですけど、突き合ってくれって、訓練場でイこうっていうのは言われました!私、本当にドキドキして待っていたんです!」」

「……ケイマ君、発言をどうぞ。」

「修正しなかった俺が悪かったが、普通に模擬戦に付き合ってくれと言ったんだ。」

「模擬戦という名の交尾ですよねっ?」

「こ、交尾っ?!模擬戦という名の、交尾……」

「いやいやいやシオリ、なんでそこで顔を赤くするんだよ!」

「交尾って、生々しい、よね?」

「俺に聞かれても困るわ!」


 クラスメイトの女子が顔から耳、首まで赤く染めて上目遣いで聞いてきて俺はとても反応に困った。

 異世界のにくしょ、積極的な女性に聞かれたら流れ的に答えてしまっただろうが、クラスメイトの女子には答えられないのはなんとなく分かるだろう?と何処かにいる男達に心の中で同意を求めた。


「私はケイマ様と交尾してケイマ様との子が欲しいです!シオリさんも欲しくないんですか!」

「ケイマ君と交尾、ケイマ君との子、ケイマ君との子供、欲しい……」

「いやいやいや興味引かれるなって!話が逸れてるから!」

「はっ!?」


 シオリが口を押さえて俺を見て、さっと目を逸らし俯く。


「……まぁ、今の身体の運動能力を確かめ、戦闘の感覚を取り戻したかったんだ。」

「……最初にそう言えばよかったんです。」

「いや、模擬戦イコール交尾ってなるお前がおかしいからな。」

「夜の格闘技だって交尾じゃないですかっ?突き合ってくれで模擬戦って交尾じゃないですかっ?」

「俺が言った付き合ってくれは俺と模擬戦をしてくれって意味だ。文字も違うからな。付き合うと突き合う、だからな。」


 俺は地面に文字を書いて説明した。


「……違います、ね。でも、でも間違ったって仕方がないじゃないっ!」

「「!?」」

「また来ることを信じて、ケイマが来ても心地好く過ごせるようにここを整え、また会えることを願い続け四百四十五年と三十五日、ついにケイマと再会、結婚決定、ケイマの家族になる夢が叶うも人がいて二人っきりになれる時間は少し、色々我慢して、やっと、やっと二人っきり!ケイマからの求愛!初体験!愛し合う!子供も出来ちゃうかも!とドキドキワクワク興奮するのも当たり前でしょっ!それなのに、それなのに……」


 送還の頃の口調で叫ぶように言ったライアがヒックヒックと嗚咽しながら大泣きし出す。

 シオリが背を向けてすすり泣き、もらい泣きをしている。


 「昔は……」と千年前の事、百年前なんてつい最近の事のように話す。「また今度」と言って十年後だったり。精霊やエルフなどの長寿族の時間感覚はほどんどの者がとてもゆっくりだ。


 俺はライアが精霊にとって短い時間でこんなにも、送還時と同じくらい大泣きするほど我慢していたことに気が付くこと無く過ごしていた。

 ケイマからケイマ様と呼ばれることに少し悲しく、大人口調になったことに大人になったんだなぁ成長したなぁと嬉しく思うくらいしか思っていなかった。

 結婚だって送還時に俺が言ったことだから、しかもミヨとの会話がきっかけで、結婚すると言っただけ。自分から言ったわけではない。


 ライアの事をちゃんと見ていなかった。




ーーーーー

あとがき

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