第018話

 俺は戻ってきてライアと共に昼食にさっぱりしたもの、素麺を皆に用意した。

 子供達、先生は黙々と食べていた。


 食べ終わり食休みしていると先生とミヨ以外全員が横になったりテーブルに突っ伏せたりした途端に眠ってしまった。


「片付けは俺達がやるんで、先生もミヨも寝ていいですよ。」


 そんな子供達に俺、ライア、先生とミヨがタオルケットを掛けている。


「ありがとう。お言葉に甘えて私も少し寝ます。」

「ありがとう。私も寝るね。」

「お疲れ様。」


 先生とミヨが横になり目を閉じるとすぐにすーすーと寝息を立て眠ってしまった。


「やっぱ、最初の殺しだから疲れるよな。」

「そういうのは私にはわかりません。」

「こっちの世界とは違って俺達の周りでは殺しも殴り合いもなかったんだよ。こっちの決闘までとはいかないけど、殺し禁止の決闘みたいなものをやる人はいたけどな。まぁ、打ち所が悪くて亡くなる人はいたがな。」

「平和な世界だったんですね。」

「周りは、な。」


 俺は食器などを全て収納の魔法を使い片付けて、全員とテーブル周辺にクリーンの魔法をかけ、ライアと共に音を立てないように台所に向かった。


 台所で収納したものを出して、食器類はクリーンの魔法をかけ仕分けして食器棚に、手をつけていない食材は凍らせて冷凍庫に、汁などの残飯は乾燥の魔法した後粉砕し、台所の裏口を出て置いてある一つのコンポストに投入し混ぜる。


「ライア、ちょっと付き合ってくれないか?」

「突き合うですかっ?!しかも外ですかっ?!待ちに待った初体験が外なんて、燃えますね!もちろんいいですよ!」

「模擬戦だ。文字が違うからな。」

「模擬戦という名の交尾ですね、わかります。すべて受け止めてみせましょう。」

「……まぁ、運動場に行こう。」

「開放感抜群ですねっ!ついに繋がるのですね!」


 普段のクールなライアと違い、今のライアは上気させた顔に興奮してはぁはぁと鼻息を荒く吐いている。


 そうだった……

 ライアは普段クールに装っているが、こいつは覗き魔の露出魔だった……




 ライアは人ではなく精霊、微精霊だった。


 この世界の精霊は頂点に精霊王、その下に各属性の長の大精霊達(精神年齢大人)、更に下の意思がある中精霊(大学生~小学高学年)、小精霊(小学低学年~赤ちゃん)、世界中に漂っているほぼ意思のない微精霊(お腹の中の赤ちゃん)がいる。

 精霊は魔力の塊で特別な目を持ったモノや契約をしたモノ、相性が良くなければ基本精霊を見ることも声を聞くこともできない。


 精霊王や大精霊、力や才能のある中精霊が実体化して姿を見せることがある。

 今のライアのように。


 ライアはほぼ意思のない微精霊だった。

 最初ホコr、たんぽぽのわたげ、小さな雲、わたあめのように見えて、頭や肩にくっついては手でぱっぱっと払っていた。


 ほとんど漂っているだけの微精霊が離れずくっついて俺達勇者達の旅(二度目の召喚)についてきた。

 悪影響がなかったからほっとかれていた。


 微精霊のライアは道中の俺達の行動を見ていた、らしい。ぼんやりとだが覚えていると言っていた。


 俺達や師匠、敵の魔法を使った後の魔力の残滓や身体から漏れ出す魔力を吸収していた。

 他の微精霊より早く小精霊(幼女)に成長した。


 知能も俺達の行動を見ていて他の精霊より高くなっていた。

 話すようになったから名無しのままだとあれかなと思って名前をつけた。

 ライアと。


 それでライアと繋がりができ契約が結ばれた。

 舌足らずに話すライア(幼女)に従弟妹にお菓子をあげるようにちょくちょく魔力を渡していた。


 従弟妹にお菓子をあげるようにと言ったが、従兄弟なんていなかったけど……


 基本俺にくっついていたが、俺が寝る時など、魔力の高まりを感じるとあっちにそっちにふらふらと見に行っていたようだ。


「へやのなかでもたたかってた。」


 朝起きてからのライア(幼女)の一言に最初何を言っているのかわからなかった。


「よる、はだかでたたかってた。」


 あれか?子供がパパとママがプロレスごっこしてたのを見てしまったってやつか?

 夜の運動を見たあれか?

 見てもそっと戻ってこい。他の人には言っちゃダメだぞとライア(幼女)に言って、魔王を斃す旅を続けた。


 ライア(幼女)は誰にも言わなかったようだが、そっと見ていた。



 ライアが中精霊(中学生くらいの少女)に成長して、性に興味を持ち性欲が目覚めてしまった。


 精霊体だと壁抜けができる。


 ある日の夜、水の音がして目が覚めて音の鳴る方を見た。


 壁に下半身が生えていた。

 白い肌のぷりっとしたお尻、すらっとした脚が生まれた時の状態のお尻から下が壁に生えていた

 そして股の位置に手があり、動いていた。


 壁尻という言葉が頭に浮かんだ。


「……」


 彼女も妻もいないが、生まれた自分の娘のように思うようになってきたライアの行為を見て、複雑な思いを抱き、止めるのもとても気まずく耳栓(防音の結界)をして見て見ぬふりをして自分に眠りの魔法をかけ寝た。


 野宿時、ローブの下は裸できょろきょろしながら歩いていた。

 たまたま通った歓楽街で娼館に壁抜けしていった。



 ライアが中精霊(高学生くらいの少女)に成長し、少しスキンシップが増えた。

 この時はもう来るもの拒まず去るもの応援てきな精神になっていたが、ライアに対してはまだ娘のように思っていたから、契約者以上の好意を感じていたがライアには手を出さなかった。


 自分や仲間、師匠の行為は時たま覗かれていた。

 露出行為も続いていた。エスカレートしていた。


 魔王を斃して送還の時にライアが大泣きしながら告白してきた。


「また来ることがあって気持ちが変わっていなかったら、妻でも嫁でも彼女でもなってやるよ。」


 そう言いライアの額に口付けをして別れたんだなと大学生くらいの女性に成長し顔を上気させているライアを見て、過去の記憶が脳内を駆け巡った。

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