第9話 ヤンデレ彼女はぷくぷく湯たんぽ

「おはようございます、友一君……ふふふっ、相変わらず変態さんです」

 柔らかい感触とともに瞼を開けると、隣で寝ている泉美がニコッと微笑んだ。


 ……え?

 ……なんで? なんで泉美がいるの?



「もう、友一君、そんなところ……ふふ、本当に変態さんです」

 クスクス笑いながら、僕の方を相変わらず見てくる泉美。



 ……そっか、夢か。


 だって、泉美が僕の隣にいるわけないもん。

 泉美と付き合えたのが嬉しくて、泉美とずっといたくなって、それでこんな夢をみているんだ。


 結婚したときの夢かな?

 結婚して一緒に寝て、おはようって……ふふふ、将来的にはそうなりたいな。


 そうじゃないと、この状況、わかんないもん。

「友一くーん、おきましょーねー」


 優しいゆりかごみたいな声が聞こえる。

 泉美の温かい声。


 ……夢だったら、何してもいいよね。


「……ちょっと、友一君!? 何してるんですか!?」


 ボスっと、泉美の胸に顔を埋める。

 大きくて、柔らかくて、ふかふかで、あったかくて……すごくいい気もち。

 リアルな夢だ。


「ふふふ、泉美、あったかくてふわふわ。ふふふ、本当に湯たんぽだ……ふふふ、泉美大好き。ずっと一緒にいようね」

 胸に顔をこすりつけるように、それを堪能するように。

 甘い匂いで……ふふふっ、赤ちゃんになったみたい。最高。


「んっ……その友一君、その……嬉しいですけど、んっ、あっ、んっ……その離れて……恥ずかしいし、んっ、くすぐったい、です……その、ハァ、いつでも、やってあげますから、ん、あっ、その、今は、ちょっと……」

 恥ずかしそうに、目をぐるぐるしながら、んー、と首を振る泉美(夢)


 可愛いので、もっと遊びたくなって、今度は腰に手をやる。

 簡単に手で包めるそこに手を触れると、「ひゃい!」と言う、びっくりしたような可愛い声が聞こえる。


 ハハハ、反応まですごくリアルだ、本当にいい夢見てる。最高の夢。

 ふふふ、このまま、ちょっと堪能しようかな、にへへ。


「ハァ、ハァ、友一、君、本、んっ当に……その、朝から、濡れ……」

「えへへ、いいでしょ、何しても夢なんだから! 泉美、夢の中でも大好きだよ。本当に好き、離したくない。だから、もっと甘えさせて、んーーーー!!!」

 もっと、もっよ泉美に密着する。

 近くにすると泉美の匂いとか全部伝わってきて……えへへ。



「えへへ、嬉しいです、けど今は……って、え、夢? 夢? 友一君、これ夢じゃないです! 現実です!」

 困ったような、恥ずかしいような泉美の声……夢じゃない?


「またまたー。僕だって、騙されないよ? 今は夢で、僕たち結婚したんだよね?」

「え、結婚……にへへ……じゃなくて、今は朝です、現実です! だから、起きてくださーーーーい!!!」

 ぺチンと優しく、それでいて強くほっぺを叩かれる。


 その感触はやっぱりすごく、リアルで、転がった先に見えた景色は見慣れたもので。




「あれ……本当に現実?」

「……もう、そう言ってたじゃないですか、友一君のおバカ!」

 泉美の可愛い罵倒が飛んできた。



《あとがき》

 今回は昨日データ吹っ飛び事件とかあったので短めです。

 モチベがないとも言います。


 大阪杯はアカイイトを応援します、ヨカヨカちゃんと同じ馬主さんなので。

 感想などいただけると喜びます。

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