第17話 皇香織は告白したい
「あ、そっか、友一は女の子から脱がしたいタイプだったんだね! そっかそっか……わかった、じゃあ私ここでじっとしてるから早く私の事脱がしてよ! ほら早く私の事脱がしたいんでしょ、裸にするのが好きなんでしょ? 大丈夫だよ、私は何も拒否しないから、友一のしたいようにしていいから! だから友一の好きなように、好きな風に色々して欲しいな! そして一緒にベッドの匂い上書きしよ? ベッドの上で暴れて、一緒に気持ちよくなって……そのままさ、松山さんの匂い、私で上書きさせてよ! この部屋私の匂いで、私と友一のいやらしくてエッチなにおいでいっぱいにしようよ! ね、友一いいでしょ? 大丈夫だよ、友一は友達でものすごく大事な私の友達だから! 友達同士ってこう言う事普通にするからさ、だから大丈夫! ほら、安心して私の事求めてほしいな! ねえねえねえ! 友一聞いてるの、ねえねえねえ、ねえってば!!!」
そう言って皇さんは真っ黒な目で、光が宿っていないグラグラと煮詰まった漆黒の目で僕の事を見つめてきて。
「ちょっと、やばいこと言ってるよ、皇さん! 自分が何言ってるかわかってる? 本当にまずいこと言ってるって、なんかおかしいよ、今日の皇さん!」
「ふふふっ、何を言ってるの、友一? なにもおかしくないよ、私はいつも通りだよ、おかしいのは友一の方だよ、急に松山さんに手を出すなんてどうしちゃったの、私の方が先にアピールしてたのにおかしいよ、そんなの。私の方が絶対先に好きになったのに、私の方が絶対友一の事好きなのにこんなのおかしいって! だから早くしてよ、早く私と気持ちよくなろうよ! 二人で気持ちよくなってさ、こんな嘘や夢でドロドロのブラックな世界から抜け出そうよ! 私はミスキャストなんじゃない、私と友一が正式なキャストなの、松山さんがミスキャスト! だから早く私の事求めてよ、私と気持ちよくなろ? 私は君の事大好きなの、君も私の事好きだよね? 隣の席になってからちらちら私の事見てくれてたし、私とずっと楽しく話してくれたし、私の事可愛い、って言ってくれてたし! だからさ、何も問題ないよね? 私と一緒になろうよ、早く一緒になろ? ベッドで狂ったように私の事を求めてよ!」
……やっぱりおかしいよ、皇さん。
僕の言葉何も聞いてないみたいで、いつもの明るくて朗らかな表情とは違う真っ黒な目で。普段のキレイで人気者の皇さんからは想像できない、怖い顔で。
「あ、もしかして私のおっぱいが小さいから? 私のおっぱいが小さいから私の事求めてくれないの? うん、確かに私のおっぱいは小さいよ? 松山さんと比べたら小さいよ、でも感度は凄く良いと思うから! 誰にも触らしたことのない、友一だけのロータスランドだけど、ずっとの友一のこと思って色々してたから、絶対に感度は良いよ、友一の事気持ちよくさせてあげられるよ? それに、大好きな人とすればそんなの関係ないよ、絶対に気持ちよくできるから! だからさ、早く私に狂ってよ、私の事求めてよ! 私は君の事大好きだから、友一のこと好きなんだから絶対に最高の思い出にしてあげるから!」
バンバンとベッドを叩いて、上目遣いで僕の方を見てくる。でも、その顔に可愛いなんて評価をつけることを僕はできなくて。
……え、ていうか、その……
「え、皇さん、僕の事……好き? え? 僕の事を? え、皇さん僕の事、え? なんで、だって皇さんは僕なんかじゃ……」
「もう、今さら何言ってるの? 私は友一の事ずっと好きだよ、ずっと好きだって言ってたよ? ずっとずっと友一の事好きだったよ? 友一のために可愛くなったし、友一のためにこの学校に入ったんだよ? 運命のアカイイト、絶対に私と友一とで繋がってると思うんだ! だからさ、今からでも絶対に遅くないから! 今からでも私の事好きって言ってよ、好きだよね、友一! あれだけアピールしてたもん、友一と一緒になれるようにいっぱいいっぱい友一と一緒にいたもん! だからさ、絶対私の事好きだよね、松山さんなんかよりずっと好きだもん!」
パンと手を叩いて、ニコッと怖い笑顔で笑う。
……そう言えば、皇さん確かに距離、入学した時から近かったな。
普段からボディタッチも多かったけど、二人で結構遊ぼって言ってくれたこともあったし、色々作ってくれたこともあったし。
それに好きって、付き合おう、って言われたことも何度かあったし……もしかして、本当に僕の事昔から?
「もう、そうだよ、本当に気づいてなかったの? 私友一の事大好きだったんだよ、本当に。だからさ、聞かせてよ、友一の気持ち……私の方が松山さんより好きでしょ? 私の方が松山さんより可愛い自信あるし、それに友一の事絶対にわかってるし、友一の好きなものも、好きなことも絶対に何でもしてあげる自信あるから……だからさ、聞かせてよ。友一の本当の気持ち」
コテンと首を傾げてそう聞いてくる。
期待するように、僕からのいい返事を期待するように。
「……ごめんなさい。皇さんの気持ちには答えられない」
……確かに皇さんの事、可愛いと思ってるし、ステキな人だと思ってる。
ずっと目で追ってしまってたし、色々世話も焼いてくれて嬉しかったです。
……でも、僕には泉美がいるから。
泉美が好きだから、泉美の事が大好きでその気持ちに嘘はつけないから。
それに皇さんは憧れの人だから。
好きってより、憧れの気持ちの方が大きいから。
好きって言われても、本当だと思えないって言うか、嘘だと思うって言うか……だから皇さん、ごめんなさい。君の気持ちには絶対に答えられないです。
「そっか、そっか……そうだよね、そりゃそうだよね」
「うん、ごめんね……でも、好きって言ってくれたのは嬉しかったよ。だからその……ごめん」
「……嬉しかったか……それじゃあさ!」
そう言った皇さんが急に僕の腕をグイっと引っ張る。
体勢が崩れてそのままベッドに転げて……皇さんを押し倒すような形になってしまって。
「……え、あ、皇さん!?」
「私の事好きなんだよね、嬉しかったんだよね!? 憧れって言っても好きだし、それに私が好きって言ったの嬉しかったんだよね!」
「……す、皇さん!?」
ギュッと強く腕を握って。
どけようにもどけることが出来ない、そんな強い力で僕の腕を握って。
「好きなんだよね、私の事好きなんだよね! だったらさ……やっぱりしようよ? このままさ、ベッドの上で……私と一緒になってよ?」
片手で制服のボタンをはずしながら。
あらわになったピンクのブラジャーに負けないくらい甘くて、でも怖い声で、表情でそう言って。
「……す、皇さん! ダメだよ、そんな! 早く正気に戻って!」
「ダメじゃない、正気だよ!!! だって好きなんだよね? 私も大好きだもん……だから、これは何もダメじゃないよ、お互い大好き同士なんだもん!」
「違う、僕は泉美が……!」
「違うじゃない、さっき言ったじゃん!!!」
僕の言葉を遮るように、皇さんが叫ぶ。
その手の力はさらに強くなって、そしてそのまま叫び続けて。
「さっき言ってくれたじゃん、私の事が好きだって!!! 私の事が好きだって、香織の事が大好きだって言ってくれたじゃん!!! 嘘つきだったの、さっきの友一の言葉! 香織の事が大好きだって、憧れの存在で、大好きな人だって行ってくれたじゃん! 松山さんよりずっと大好きだって……あの言葉は嘘だったの!?」
「そんなこと言ってないよ! 僕は泉美が「……友一君、何やってるの!? そんな恰好で、それにさっきの……え、え!? 私より皇さんの方が……ゆ、友一君、それ本当にそう、なんですか?」
扉の方から聞き覚えのある、大好きな声が聞こえる。
いつもは喜んで駆け寄る声、天使の声。
でも今は来てほしくなかった声。
「……な、何でいるの泉美?」
扉の前で、青い顔でぽとりとカバンを落とす泉美。
皇さんがニヤリと笑った気がした。
《感想》
ファインルージュも頑張った!
キズナコンビ大好きだからずっと応援します!
感想や評価などいただけると嬉しいです!!!
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