掌のサンクチュアリ

伊月 杏

第1話 シルバーが重なる

一日は思ったより早く過ぎてしまった

朝早く起きてこの海に来たはずなのに

気付けば夕焼けが水平線に広がって

それがにじむように海に溶けている


来年もここに来ようねとそう言って

つないだ手をいっそう強く握りしめた


ふたりの薬指にあるシルバーリングが

触れ合ってかちゃんと小さく音を立てた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る