第8話 薄氷に燃ゆ

冷えきった心がピキピキと音を立て

水に張った薄氷のようにひび割れる

そしてぐねぐねと端から溶けていく


ああ 壊れてしまう

ああ 折れてしまう

ああ 溶けてしまう


その瞬間をできるだけ長引かせたくて

小さな動きをしてみせるだけれども

ひとの存在意義は蝋のようなものだから

いつかはその身をすべて溶かしていく

僕もきっとそうだろう 溶けていく


この手に灯りを点したときから

形がなくなって醜く冷え固まるまで

僕には何ひとつ抗いようがないんだ

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