第15話 相談室1
「私は利用されるのは嫌なのです。でも孤独になるのも嫌なのです。いい子でいれば孤独にならずにすみますが利用されます。いい子でいるのをやめれば私は自分のために生きられて孤独になってしまう。実際に自分らしく物事を話すようになってから友達が減っていくのです。先生、どちらを選んだらいいでしょう」
「思いというものには消費期限がある。人への感情も己の価値観にもだ。君が必死で取り繕っている都合のいい人間を辞めれば、多くの人が離れていくだろう。それはつまり周囲は君のことを都合のいいコマとして評価していたということだ。まあそんなことはわざわざ聞かなくても君ならとうに理解しているだろうに。そして周囲から向けられていた思いの消費期限よりも、君の意思が取り扱いづらく苦味をもつようになったから「賞味期限」のほうがきれていったのだ」
「私はもう愛されない人間ですか」
「それは君次第だろう。ただ飛び降りるなら別の建物にしてくれよ。厄介ごとは御免なんだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます