第5話 最期の慈愛

衰弱して死を待つあなたを見ていると

今まであなたにされて嫌だったことが

たくさんたくさん 思い浮かんできた

言えなかった不安と不満がぼこぼこと

沸き立つように 心にたくさん溢れる


聴力だけを残して反抗できないあなたに

これまでの恨みをすべて聴かせてあげた


病室の窓の外は とても綺麗な青空で

まるで 私も 澄んでいく感覚がする


こんなことをして私は酷い人間だと

言われてしまうに違いない でも

嘘にまみれた親子の愛情をかたって

涙することが 正義ではないのだから


あなたの最期は わたしの正直な言葉

よかったね 最期に娘の本音が聴けて

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