概要
「アリス」になれない「メアリアン」の話。
アリスは言った。
「他人に訊くことじゃねえだろ」
アリスは言った。
「かわいそうに……なんにもわかっていらっしゃらないのね」
アリスは言った。
「だがそれも、君の『本当の言葉』ではない」
わたしは、
***
上級生が卒業式する朝、屋上から転落したわたしは得体の知れない世界に落ちてしまう。
顔の見えない異形の中で、自分を助けてくれた海亀のようなヒト。くすんだ黄色の屋台街。深い青と白黒の湖。オレンジ色の高層ビル群。波打ち際の洋館。薄紫の霧が渦巻く山と谷。
未完成で、どこか夢の中にいるような旅を経て、わたしはようやく気付く。
知りたくなかった、自分のことを。
何者でもない、自分のことを。
「他人に訊くことじゃねえだろ」
アリスは言った。
「かわいそうに……なんにもわかっていらっしゃらないのね」
アリスは言った。
「だがそれも、君の『本当の言葉』ではない」
わたしは、
***
上級生が卒業式する朝、屋上から転落したわたしは得体の知れない世界に落ちてしまう。
顔の見えない異形の中で、自分を助けてくれた海亀のようなヒト。くすんだ黄色の屋台街。深い青と白黒の湖。オレンジ色の高層ビル群。波打ち際の洋館。薄紫の霧が渦巻く山と谷。
未完成で、どこか夢の中にいるような旅を経て、わたしはようやく気付く。
知りたくなかった、自分のことを。
何者でもない、自分のことを。
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