8月19日―――君が「助けて」と言わないなら。
「―――!」
気づいたら、僕は過去を思い出して泣いていた。
そして、佐藤が僕に託した全ての意味を、やっと感じることができた。
「・・・・・・行かなきゃ。」
僕は咄嗟に、スマホと佐藤の日記帳を持って、家を飛び出した。
学校までダッシュで到着した僕は、静まり返っているその中に足を踏み入れた。
あの夏の日…僕は死のうとしていた君と出会った。
あの時の夜の雰囲気とは全く違い、今日は日差しが鋭い日だ。
――――が、どこか君が僕を待っていてくれているような気がした。
「・・・あの日以来だな。」
屋上に着いて、僕は周りを見渡した。
そこは何もない場所だが、綺麗な空を見ることができる最高の場所だ。
…そして、彼女もここに存在しているような気がする。
「・・・佐藤。」
『ここまで来てくれたんだね、山本くん。』
僕は、目の前の彼女を見た。
実際には存在しない、彼女を。
「君も僕も同じだ。」
『うん。』
「君はなんで僕を置いて死んだんだ?」
『私は消えたかった。色んなものを置き去りにして、楽になりたかった。』
「自分勝手だろ・・・そんなの。」
僕は、いるはずのない彼女を見ながら、ボソッと呟いた。
――――そして、心のうちに秘めた思いを、今、放つ。
「僕も今から、佐藤の場所へ行く。」
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