8月10日―――彼女の手紙


8月10日。


僕はもう一度、彼女の手紙を封筒から取り出して読んでみた。


彼女の思いを、汲み取りたい。

「本当の彼女」を見つけたい。

そして真相にたどり着きたい。



その思いが、爆発し始めている。


なぜかは分からない。


ただ、僕は「本当の佐藤自身」を知りたいと思ってしまったのだ。





【①私は今月中に死にます。】

【②本当の私を見つけろ。】





今となっては、この文章は、彼女のダイイングメッセージだとなっている。


「どうやって見つけたらいいんだ。」


僕は、2行しか書いていない手紙をヒラヒラさせてみる。

…うん、なにも書かれていない。

真っ白な紙だ。



真っ白な紙が・・・1枚・・・・・・




ペラッ




「あれ・・・?」





僕は、その手紙…いや、「手紙と手紙の間」に爪を立て、ゆっくりとなぞった。






「・・・・・・・・・紙が、もう1枚?」






僕は仰天した。


なぜか、彼女のメッセージが書かれている紙とは別に、薄い紙が同封されていた。

本当に、和紙ぐらいの厚さの紙だ。

静電気か何かの影響でくっついていたのか、僕は全く気付かなかった。




 僕は急いで、ヒラヒラと落ちた紙を拾った。








【090-○♧♢△-○□○♡】








そこには、どこの誰かも分からない、電話番号が書かれていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る