8月18日―――本当の彼女。
あの面談の後、僕はすぐに彼女の日記帳に記された最後のページを再度読み直した。
…本当に君は悪いヤツだ。
面倒事は人に押し付けておいて、自分はさっさと死んだ。
それでも僕は、彼女の人生に少しずつ触れたことで、どこか彼女の「生きづらさ」を感じ始めていた。
仲が良かったにも関わらず、離れてしまった友人。
彼女の将来に安心しきっている親戚、親。
学校のリーダーとしか見てくれない先生。
そして―――他の生徒が認識している、「生徒会長で優秀な人材」というイメージ。
これらは、単に彼女を苦しめる要因にしかならなかった。
「………みんな、「本当の彼女」を見ようとしていない。」
そう呟くと、どこからか『そうだよ。』と声が聞こえた気がした。
『最後のページを見て欲しい。』
彼女の母親が言っていた言葉を受け止め、僕は最後のページ以外は見ていなかった。
…ひょっとしたら、彼女は。
この日記帳に書かれてあることの全てを、僕に見せたかったんじゃないのか?
僕は、表紙からゆっくりとページを捲った。
―――これが、無駄足になってもいい。
それでも…僕だけでも、「本当の彼女」を見つけたい。
僕はゆっくりとページを捲り、彼女の文章を読み始めた。
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