Disc.02 - tr.05『幽霊部員とアクションサウンドとRE-X』

 ピロリン♪


 ――ん? メッセージの着信音?

 慌ててコロ嬢を放し、スマホの画面を確認する。


「どした?」

「――日々希先輩から。2人とも生徒会室に来てね~~、って」

 それを聞いたワンココンビは、にっこり笑って言った。

「いーよ、行ってきなよ、お姉さん」

「心配するな。こっちはボクたちが片付けとく」

「でも――」

「大丈夫だろ。じゃ、任せていいか?」

「「任された!!」」


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「――要は昨年と同じということね。部活動としての正式認定?」

「そうですわ」

「で、国楠は彼の一存で却下したということ、かな?」

「そういうことだ」

「当然でしょう。状況に変わりなければ、総会に諮るまでもありません」

「会計おーぼー!!」

 ここで後ろから声が上がる。

 席から立ち上がって叫んだのは、先程からずーっと国楠とソニアたちの遣り取りを聞いていた書記の三葉みつば由布子ゆうこだった。

「三葉、お前は関係ない」

 国楠が不機嫌に吐き捨てる。

「ウチかて生徒会の端くれですぅー!!」

 ぷんぷんと頬を膨らませる由布子。子リスのようだ。

「あらあら、怒ったら可愛いお顔が台無しよ」

 ソニアが由布子の頬を両手でそっと挟む。

「うむ。君は笑っている方が好きだな」

 真紅が微笑んで由布子の髪を撫でる。

「由布子ちゃん良い子ね~~」

 後を受けた日々希が由布子をハグ。

「ぅえへへへぇ……」 

 由布子はもう完全脱力して、表情筋が弛緩しまくっている。

「……まーた始まったわね。この天然タラシども……(--;」

「いやぁ、眼福眼福。今日は良い日だなぁ(*^^*)」

 頭を抱える会長と至極満足げな副会長。会計はあまりの光景に固まっている。


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 後をワンココンビに託し、小走りで生徒会室に向かう真貴と響一郎。

「――でもさ、雨音くん、なんで生徒会室なんだろーね?」

「さてね。あの人らの考えることはどーも良く解らん」

 次の角を曲がると生徒会室の筈、だが――


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「と、兎に角っ!!」

 国楠は話を戻そうと声を荒げる。

「先程から私が申し上げているとおり、却下で何の問題も無いと思われますがっ!!」

「まぁ、それは確かにそうなんだがなぁ」

 副会長が思案顔で会長と目配せをする。

「しかし、貴女あなた方もそんなことは先刻承知、な筈よね?」

 会長がソニアたちをじーっと見る。

「我々もそこまで無理を通すほど馬鹿ではないつもりだが」

 真紅が溜息を吐く。

「えぇ。なので直接、お話しに伺ったのですけど、そこのイカレポンチ…もといスカポンタン…ではなく…ワカランチンが聞く耳持たずで」

 ソニアが哀しげに目を伏せてよよよとばかりに言い募る。

 さんざんぱらディスられた当の本人は目を白黒させているが、副会長と書記は必死に笑いを堪えている。

「つまりは状況が変わった、ということね?」

 流石に生徒会長、理解が早い。しかし動じないな、この人。

「あぁ。そこの輩が幽霊幽霊と五月蠅いので証拠もお目に掛けるさ」

「――あ、来たみたいよ~~」


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「――す、すみませーん! 遅くなりましたー!」

 生徒会室の扉を盛大に開け放って真貴が叫ぶ。

「――ども」

 すぐ後から響一郎がのっそりと入ってくる。

「こりゃまた、ウチの三葉並みに元気なのが来たなぁ」

「――が、証拠ということかしら?」

 その通り、とばかりにソニア達の顔が輝く。あまりの尊さに由布子が拝み始めた。


「――え、えーと……」

 出迎えの多さに真貴が戸惑っていると、ソニアがそちらに右手を芝居がかった所作で伸ばしながら言う。

「ご紹介致しますわ。あちらの2名がこの度、我が電気音響研究部の部員となりました」

 真紅が後を受けて、

「共に1年生だ。藤與ふじよ真貴まき雨音あまね響一郎きょういちろう

 日々希が何やら用紙を取り出して、

「入部届はこちらね~~」

 国楠はぽかーんとして固まっている。由布子は何故かドヤ顔。

 話にまったく付いて行けない真貴と響一郎が立ち尽くしていると、


「あーっはっはっは!」

 唐突に副会長が笑い出した。

「ここまできっちり証拠が揃ってりゃ、無碍に却下は出来んわなぁ、ねぇ?」

「……そうね。これで在籍5名の要件は満たした以上、こちらとしては却下する理由は無いわね」

 その言葉に、抱き合って喜ぶソニアたち。どさくさ紛れに由布子まで混ざっている。

「……あ、あのー……」

「俺らが完全に置いてけぼりな件」

 完全に蚊帳の外な2人は只々立ち尽くしているしかなかった。


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【特報】


 時は21世紀、史上稀に見る未曾有の災害に見舞われたこの地球を陰から狙わんと蠢く悪の帝国――

 世界を蹂躙する猛威にすべての希望が潰えたかに思われたその時、敢然とそれに立ち向かわんと戦う者が現れた!!

 彼女らこそは地球最後の希望!! 今こそ較正こうせいせよ、キャリブレンジャー!!


 きゃりぶれ! Bonus Disc『劇場版 磁帯戦隊キャリブレンジャー! -出陣!!新たなる戦士-』 絶賛(?)公開中!!


 G.W.連続公開!!

 

 大参謀オングーロ、ブラック、ピンクの中の人は本編では今回初登場です。(おぃ)


 ※磁帯;カセットテープの中国語表記

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