Disc.03 - tr.2『小さなヘッドホンとコンピレーションとUL』
「……とは、言ったものの」
響一郎は頭を抱えていた。
「どーやって纏めろってんだ、この曲数!!」
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伊藤アキラと小林亜星。前者は作詞家、後者は作曲家(で歌手で俳優)。
令和3年5月の15日と30日に相次いで逝去。
共に多数の作品をものし、数多の代表作も持つが、特徴的なのはCMソングやアニメ・童謡系の作品が多い点か。
両者に共通した=共作した代表作もそれを裏付けている。
曰く「この木なんの木~」の歌い出しで知られる日立グループの企業CMソング『日立の樹』。
曰く「ばっ!とさいでりあ~」のフレーズで一世を風靡した新興産業のCMソング『ぱっ!とさいでりあ』。
前者は1973年以来アレンジや歌手を変えつつ現在まで約半世紀、後者は作曲者の小林自身が歌唱と出演までしたTVCMで'90年代を通して親しまれた。
それ以外にも手がけたCMソング、アニメ主題歌、童謡(児童番組の番組中歌等)は数知れず、詳しくはwebへ。
「コラ作者、ズボラも大概にしろ」
あ、ヴィーパイセンに睨まれたw
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「――まぁ、この2曲はマストなんでいーんすけどね」
溜息を吐く響一郎。
「こちらの歌謡曲も大体絞れそうじゃありませんこと?」
あれからweb(殆どwiki)で調べ上げた曲目を眺めつつソニア。
「そうねえ~~これとこれなんかは当確で~~こっちは保留かしら~~」
曲に蛍光マーカーを付けていく日々希。
「日々希パイセン、選挙じゃ無いんだから(^^;」
殆ど曲自体を知らない三沙織はほぼ見ているだけである。
同じく見ているだけ状態の真貴だったが、
「ねぇ、雨音くん、これ実際に流してみようよ。聴けば私たちでも知ってるのあるかも知れないし」
「あー、それもそうだな」
響一郎はCDプレイヤーを操作し、暫くするとあれこれと賑やかな曲が流れ始めた。
「お! なんかコレ、聴いたことあるかもー☆」
「あっ! ミサちゃん先輩、これ聴いたことありません?」
と、こちらはこちらできゃいきゃいやり始めた。
「問題は、こっちだな……」
真紅がこめかみを人差し指で小突きながら嘆息する。
「CM関係は有名どころ以外はあの2人に任せても良かろう。しかしこの童謡関係――」
「こっちも有名どころくらいでいーんじゃないっスか?」
「多すぎて絞れないわね~~」
「ならこっちもコロとあれに丸投げしましょうw 絞れないならむしろその方が早い」
響一郎がちょっと悪い顔をして言う。おい、眼が嗤ってるぞ!?
「まぁ、
「あと、これまた膨大なアニメ関係だが――」
「そっちは問題無い」(`・ω・́)ノシ
ビシッ! と挙手してヴィーが宣言した。
「ボクと
「待てコラ、キョンキョンってなんだ、キョンキョンって!?」
「響一郎だから頭の2文字とってキョンキョン、なんてったってアイドルっぽくて可愛かろう?」
「気色悪いから不許可だ不許可」
「ならば"キョン"で――」
「そっちはもっと差し障りがあるから駄目、絶対!!」
「ボクは八丈島の方を言ったつもりだがw」
「お前ホントに現役高校生かよ……」
「( ´∀`)< オマエモナー」
「……あー、ならばそっちは任せたぞ(´・ω・`)」
会話の内容に付いていけない真紅は匙を投げたようだ。
「……?」
「……キー?」
「……マッキー!?」
耳元で三沙織に言われて我に返る真貴。
「――ふぁ、はいっ!!」
「どーしたんよ、ぼーっとして?」
「あ、いえ、何でも――」
ちらと響一郎とヴィーを見て苦笑いをする。
その真貴を訝しげに見ていた三沙織だったが、納得したように
「……ふーん♪いやいや、青春だねぇ☆」
と謎の独り言を発して再び選曲作業に戻った。
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「――先ず、これだけは外せない、というところで」
部室の黒板に白墨の音を小気味よく響かせつつ曲をリストアップする真紅。
「さっき話していたCMソングの2曲、『日立の樹』と『さいでりあ』」
「歌謡曲はこんな所かしらね~~」
後を承けて日々希が続ける。黒板にさっきマーカーを付けていた紙を留めた。
「絶対入れてね~~というのは※を付けてあるから~~」
[伊藤アキラ]
愛してます(河合奈保子)
かもめが翔んだ日(渡辺真知子)※
恋人試験(松本ちえこ)
春ラ!ラ!ラ!(石野真子)
ビューティフル・ネーム(ゴダイゴ)
ブルドッグ(フォーリーブス)※
[小林亜星]
おにいちゃん(森昌子)
北の宿から(都はるみ)※
恋待草(岩崎宏美)
涙と微笑み(沢田研二)
野に咲く花のように(ダ・カーポ)※
雪ごもり(芦川よしみ)
「問題はアニメ関係ですわね」
ソニアが角突き合わせてあーでもないこーでもないとまだやっている響一郎とヴィーを横目に見つつ嘆息する。
「まぁ、あっちは曲数多いから~~」
「我々はCM曲の残りと童謡を選ぶとするか」
「童謡だけどさ~、小林亜星は『ピンポンパン』と『あわてんぼうのサンタクロース』は要るっしょ?」
「伊藤アキラは『ポンキッキ』と『南の島のハメハメハ大王』は聴いたことありますっ!」
三沙織と真貴が応えると、
「「『はたらくくるま』三部作も入れてくれー」」
と響一郎とヴィーから注文が来る。
「ほいほーい☆」
と軽く返事をして真貴をチラ見した三沙織は
「まぁまぁ後輩、アタシもヴィーちゃん取られたみたいで淋しいのは解るからさー☆ありゃヲタ同志の連帯感みたいなもんだって♪」
「へっ!? い、いいいえ、わ、私は、べべ別に――」
瞬間沸騰で茹で蛸になりわたわたする真貴の背を目一杯背伸びしてぽんぽんと叩きつつ三沙織は
「なんならお姉さんに話してみ?」
とニヤニヤが隠せていない顔で迫――
「あだっ★☆★」
「いい加減にせんかこの恋愛脳は」
あきれ顔の真紅にド突かれたw
「あー、真貴くん、三沙織の奴は何というか、その、何でもかんでもそういう方向に結びつけようとするので、あまり気にするな」
「桃色お花畑も大概になさいな、全く」
「女の子よね~~うふふ~~」
はぁ、と返事をした真貴だったが、何故か先程から上がりっぱなしの心拍数を抑えるのに完全に意識が行っていた。
[L] ||||||||||||||||||||||||||
-dB 40 30 20 10 5 0 2 4 6 8 +dB
[R] |||||||||||||||||||||||
……ホントにね、ほんとーに絞るの大変なんですよ、コレ……
歌謡曲はそもそも候補が少ないのと、童謡は超有名曲以外はバッサリと切り落としたのですが……
問題はCM曲とアニメ。聴き始めるとアレもかコレもかってな具合にあって、削れねー!!
後ろでうんうん唸っている響一郎とヴィーはほぼ作者のことです(^^;
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