Disc.03 - tr.3『小さなヘッドホンとコンピレーションとUL』
「CMはCMで難しいですわね」
「そうねえ~~普通の歌くらいのもあるし、1分未満くらいの短いのも多いし~~」
「なら一旦、時間の長短で割り振ってしまうか」
<< □ |> ○ || >>
「まず長い方、こんな感じだな」
[伊藤アキラ]
しあわせって なんだっけ(明石家さんま)
どこから来たのかおまえと俺(尾崎紀世彦)
毎度毎度のおさそいに(植木等)
[小林亜星]
酒は大関こころいき(加藤登紀子)
ふりむかないで(ハニー・ナイツ)
明治チェルシーの唄(シモンズ、サーカス、他)
木犀の花(デューク・エイセス)
ワンサカ娘'64(弘田三枝子)
「短い方…1分未満のは結構あるのよね~~」
「そうですわね……伊藤先生だと"答え一発"と"オー・モーレツ!!"、お線香の"毎日香"と"青雲"……」
「"かっぱえびせん"と"きのこの山"と"三ツ矢サイダー"、"出前一丁"に"焼き肉のたれ"も入れたいわね~~」
「個人的には"ピコレット"と若大将の"ヰセキトラクター"も捨て難いのだが……」
「チェルシーの唄はどうする~~シモンズがオリジナルなんだけど~~」
「サーカスの方も良いですわね……」
「これについては一旦保留しておくか……」
「次は小林亜星さん~~」
「名曲"サントリー・オールド"と"積水ハウス"は必須ですわね」
「10秒前後のジングル(短いワンフレーズの曲)が割と多いな――"クラシアン"とか"新三共胃腸薬"とか」
「"金銀パール"もなのね~~あら、ファミマもなの~~」
「CM曲はこんなものでしょう。さて、後は――」
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「いやだから、その2曲だと作曲者も被っちまうだろうが!!」
「何を言う、『ひばりくん』は譲れない」
「ンなこと言ってたらキリが無ぇー!!」
「ならばキョン²、何故に『ボルテス』と『コン・バトラー』はOP・ED両方入ってる?」
「どっちもEDは知名度とか名曲度がだな――」
「……なんとなく嫌な予感はしていたのですけれど」
額に手を当てて眉間に皺を寄せるソニア。
「真貴ちゃ~ん、ミサちゃ~ん、どうしたの~~?」
「――え…っと、ですね」
「ご覧の通り、推し曲でモメにモメてんだよねー(^^;」
「私たち、会話の内容に全く付いていけなくて……(´・ω・`)」
「マッキー、ヲタ同志の推し戦争は放っとくしかないよ☆聞く耳持たねーってありゃw」
「でもミサちゃん先輩、あの調子だと今日中には終わらないんじゃ……」
「妬くな妬くな♪ま、ヴィーちゃんも楽しそうだし、いんじゃね?」
「妬くって何を――」
「――あー…まぁ、大体解った」
こめかみをぐりぐりしつつ真紅が盛大に溜息を吐く。
「でもホントに終わらなそうね~~」
「貴方がたっ!!」
ソニアが大声を上げる。
流石に響一郎とヴィーは論争を中断してソニアの方を振り返るが、そこへ被せるように、
「部長命令ですわ!! キリが無いから、各先生方の曲は、このテープに片面ずつで纏めあそばせ!! 反論は許しません!!」
2人の前に青いパッケージに包まれた4本パックのテープをバン!!と置く。
「えー!!部長横暴!!悪逆非道!!造反有理!!」
「いやそこは悪役れ…」
ぶんむくれるヴィーに便乗して何事か言いかけた響一郎へギヌロッっとばかりに鋭い一瞥をくれるとソニアは、
「そ・も・そ・も、あ・な・た・が・た・が、い・つ・ま・で・も、決めないからでしょうー!!」
盛大に青筋立てて吠えた!!
スーパー悪役令嬢モードを解放したソニアのあまりの迫力に、さしもの毒舌コンビも沈黙する。傍らで見ていた真貴などは半泣きになって今にもへたり込みそうだ。
「へぃへぃ、合点承知致しました、お嬢様w」
響一郎が降参とばかりに両手を挙げた。
「ふむ、止む無し。マキマキが泣き出す前にちゃちゃっと片すか」
ヴィーの台詞で我に返った真貴が慌てて立ち上がると、日々希が後ろからハグして慰める。
ソニアも「怖がらせてしまったわね」と響一郎を睨みつつ、真貴の目尻の涙を指で拭っている。
「で、纏まりそうなのか?」
真紅が響一郎に問いかける。
「ま、なんとかしますよ。また怒られたら怖いしw」
「それな。ま、ブレストは充分、あとは削るだけ」
「……アレを
[L] ||||||||||||||||||||||||||
-dB 40 30 20 10 5 0 2 4 6 8 +dB
[R] |||||||||||||||||||||||
纏まらないときのテープ縛り。
選曲してからそれに合う長さのテープを決めるのが常道ですが、本当に絞りきれないときは、逆にテープの長さを決めてしまって、それに合わせて曲を選ぶのも手です。
こうやって、何を入れて何を落とすか一喜一憂するのもカセット編集の醍醐味ですね。
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