見世物師彦六

　江戸時代、天保の飢饉が終わり、高野長英、渡辺崋山らの蛮社の獄が行われ、寄席や歌舞伎、見世物などが締め付けられたが、水野忠邦の失脚とともに、興行師たちは動き出した。
　調布の川漁師の六番目の息子彦六は、本草学の竹仙に手習いと本草学を学び、読み書きが得意だという理由で叔父の半助とともに江戸にでて見世物師の手伝いをする。
　江戸では、長屋の人々や、桜や菊の新種を作る染井村の金蔵さん、江戸のリサイクルを行う坂東親方などと知り合い、見世物の菊次郎親方からは、能や歌舞伎のように世間に打って出られるよい見世物を作れと言われる。
　ひょんなことから本草学の大家でもある漢方医沢内松庵亭に出入りするようになり、そこの一人娘ユリと知り合いになり、日本各地の植物、動物、農産物、鉱物などを広く展示する物産会の手伝い…続きを読む