第49話 新魔王城の新メンバー 4
「ところで、ワイバーンって倒せるんですか?」
「この数を前に手加減はできないから、全滅させるしかないんだが……」
「あなたの実力的に手加減ができないんですね」
「――全部食うのに何日かかるか」
それこそ農業ができてしまうほどの時間がかかるだろう。
「やりましょうよ」
「なんでお前はそんなにここにいたいの?」
「自分で作った城というのは、まさに一国一城の主、みたいでいいんですよ!」
「作ったのは俺だけどな」
「デザインしたのは私ですから」
「お前たちは話をすすめる気がにゃいのか?」
デリアに一喝されて、俺たちは不毛な議論をやめる。
「けどさあ、ワイバーンてのはあまりに酷すぎない?」
「ウチが一匹誘き出してもいいにゃ?」
「よほど遠くまで行かないと、音で聞きつけて群れが襲ってくると思うぞ」
「魔王とか名乗ってる割には使えないにゃあ」
「うるさいな」
どうやらこんな辺境までは、魔王の噂は伝わっていないらしい。
幸か不幸かは今の段階じゃ判断できんが。
「どう考えても幸運と取ったほうがいいですよ。あなたの魔都に伝わっている噂であなたを好きになるのは
「幼女も『結婚して』と叫んでたぞ?」
「それはあなたが好きなのではなくて、財産狙いでしょう」
「真実ばっか言ってるやつは嫌われる、という世界のルールを知らないのか?」
「ちゃんと相手を見て言ってるから大丈夫です」
「さらに腹が立つだけだな」
「だからお前らは食料確保する気があるにゃ?」
「そういえばデリアさんの歳は?」
「110にゃ」
「どストライクじゃないですか。デリアさん、この男には気をつけたほうがいいですよ」
「余計な忠告するんじゃない!」
「こんにゃ棒みたいなやつには負けにゃいから大丈夫にゃ」
「魔王だと言ってるだろ!」
なぜどいつもこいつも信じないんだ。
「そんにゃことはどうでもいいにゃ。それより、ワイバーンがダメにゃら次に行くにゃ」
「ところでその語尾は何なんだ? 使うときと使わないときの統一がされてない気がするんだが」
「族の掟にゃ。統一されてにゃいのはまだにゃれてにゃいからにゃ」
「そこまで使われるともはや元の文がわからん」
「黙れ」
「そこは使え!」
「っと、ミスったにゃ」
「というかお前はもう黙ってていいから案内だけしてくれないか?」
「萌えにゃいのか?」
「獣人族ってのは、それで萌える連中なのか……」
さすがの俺もドン引きである。
「とか言って、オリヴィアさんとかがこの語尾だったらどうですか?」
「萌え尽きて灰になる」
ああ、オリヴィアさん……。
「ハマってるハマってない以前に二回目じゃダメです」
「だからお前ら早くついてくるにゃ」
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