第38話 絶望的? まだまだ下げしろはありました 1

 俺は、決意した。 

 女の悔しさは、女で晴らす、と。

 

 なんでも、きれいなサキュバスのおねいさんと楽しくお酒を呑める店が、魔王城下にはあるらしい。

 もちろん魔王がそういう店に行っている、と評判が立つのはあまり良くないので――それはそれでロリコン説が弱まる可能性もあるが――変装して、偽名を使う。

 

 魔力を隠蔽する魔法をかけるほど念を入れてから、俺はひっそりと魔王城を出て、夜の城下町に向かった。

 騎士団長のアニキ、ダスティンに聞いて、店の目星はいくつかつけてある。


 まず、特に強く推薦された店、「夢の通い路」に俺は向かう。


 扉を開けると、応対に出てきたのは黒服。

 サングラスをかけているため全く表情が見えないが、すこし驚かれた気がした。

「――お一人様で?」

「そうだが……」


 もしかしたら複数人で来なければいけなかったのか?

 こういう店に来たことがないから、マナーなどよく知らないのだが。


「いえいえ、大歓迎ですとも。さあ、お入りください」

 そう言われて、俺は安堵する。


 案内されたソファは、部屋に一個買っていこうかと思うほど、フカフカで快適だった。

 数人のサキュバスの女性がやってきて、同じソファに座る。


 ……たしかに、綺麗な人ばかりだ。

 ただ、オリヴィアさんとタイプが似ていて、顔を見ていると彼女を思い出して泣きそうになる。


 っと、酔っ払って忘れてしまおう。

 俺は酒に強いわけじゃないが、だからこそすぐに酔えるのがいいところ。


 確か酒は注文するだったな?

 

「適当に高い酒を」

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