第17話 魔王城会議 2
「あなた、魔王というのは嘘ですよね」
その言葉に、俺は奮起した。
魔王の威厳に賭けて黙らせてみせよう。
「ねえミシェル、魔法で黙らせて」
と言っても人任せだが。
「なんでアタイが」
「もとはと言えばお前が嘘を垂れ流すからだろう」
「チッ、分かったよ」
オレヮロリの軽蔑の視線が少し強くなった気がしたが、作戦自体は成功した。
「
ミシェルが一言呟くと、部屋中に破裂音が響き渡った。
鼓膜が破れそうなほど強烈な音に、魔人たちは静まり返った。
一旦静かになると、頭の方も冷静になったようだ。
「コホン、発言者は挙手することを徹底するようにしてください。発言がある者! ──ルーカス外交部長!」
ラファエルに指名され、外交部長ルーカスが立ち上がる。
人間との折衝を本業にしているだけあり、魔王城の中では常識人として知られている。
「その少女は人間ですよね?」
「そうだ」
「なぜ魔王城に人間が?」
「召喚の儀で出てきたんだ」
またもざわめく会議室。
しかし、今度はラファエルが睨みを効かせたため、騒ぎには発展しなかった。
「しかし……失礼ですが、魔法に不備は?」
「それは私が答えましょう。魔法陣の痕跡などを調査しましたが、明らかな間違いはありませんでした」
ラファエルがそう言い切る。
俺にミスがなかったというのはいいことだが。それでは新たな疑問が生じる。
「しかし……それではどうして人間の少女が……?」
答えるのはまたもラファエル。
「それは不明です。ヴァディス将軍によりますとこれまでも魔人が召喚された例はあり、その発展として考えれば人間の少女を召喚することもありえないわけじゃないのではないでしょうか。──教皇レニアーデ」
挙手したのは、見た目──実年齢はともかく──美少女のサキュバス、レニアーデ。
グラマラスではあるのだが、天然でおねいさんという感じではないのが残念。
指名されたレニアーデは、おっとりと首を傾げた。
「魔神様の御業と考えればよろしいのではないでしょうか」
「魔王様が人間の少女を相棒として召喚したのは、天命だと言いたいんですか?」
「はい、まさにその通りです」
オレヮロリと出会ったのが天命だって?
性の悪い冗談はやめてくれ。
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