第11話
「で?お前いつまでフラフラしてるつもり?」
ソファーで項垂れていると眉間にシワを寄せた豊が僕を睨んでいた。
「なんの事?」
「話逸らそうとしてんな。
何で最近部屋にも戻らずフラフラしてんだよ。」
「いつもの事じゃん」
「確かに部屋にいる事少なかったけど
お前仕事行って以来一度も戻ってねぇだろ。
それに、何で要避けて遊び歩いてんの?」
要。
その言葉にピクリと体が反応した。
避けていたつもりはない。
ただ、あの時以来要に会うと胸がざわつく。
それが鬱陶しくて純君の所や他のペットの所を転々として要ワードがない所に居た。
「別に避けてないよ」
「嘘つけ。他の奴は気づいてないかも知れないけど
俺まで騙せると思うなよ。
無駄に長年お前と付き合ってないわ」
実は豊は幼馴染だったりする。
所謂腐れ縁というやつだ。
「はぁ、別に避けてるつもりはないよ。
ただ要を見ると苛々するんだよ。」
豊を騙せた試しはないし、早々に諦めて白状した。
今は無駄な労力使いたくない。
「はぁ?お前ら喧嘩でもしたのか?」
「してないよ。何もなかった。
だけど、嫌なの!何か胸がざわつくんだよ。
無性にイライラするし、えっちで発散するしか方法見つかんないんだよ」
要と会わなくなったからって
僕のイライラは解消されなくてそれを誰かにぶつけるしか方法がわからなかった。
「待て待て待て。
ざわつくようになった前後にあった事詳しく言ってみろ。」
僕は要にその前後にあった話をした。
ざわつくようになったのは要が嘘をついた時からだ。
「お前は要が嘘をついたのが嫌だったのか?
それともお前のことが嫌いだから嫌だったのか?」
「んー………どっちも…なのかなぁ?わかんない。
ただ嘘つくくらいなら直接嫌いって言えばいい話じゃない?
そしたら僕だって納得して関わらない様にするし。何で嘘つくのかわかんない。僕嘘嫌い。」
僕は、嘘をつくけど他人に嘘を吐かれるのは嫌い。
僕が我儘で自己中な自覚はあるけど、仕方ないよ。
此処まで来たらもう直す云々の話じゃないし。
「それは知ってるわ。
というか、本人と話したのか?誤解があるかもしれないだろ?」
「誤解?どんな?
誤解のしようがなくない?僕を好きって言ったときに要がした顔嘘ついてる顔だった。
知ってるでしょ?僕そういうのに敏感なの。
それに要が嘘下手くそなの知ってるでしょ?」
「んー……でもなぁ……
はぁ、ちょっと待ってろ。俺が聞いてくるから。
いいか、絶対どっか行くなよ!?
行ったら二度とお前に飯は作らねぇし世話やいてやんねぇからな!」
「……わかったよ」
出ていった豊を見てため息をつく。
豊は本当にやるからなぁ…
基本的に自分の事に無頓着な僕の世話を昔からしてくれてるのは豊だ。
昔から、飯は食ってるかとか
ちゃんと寝てるかとか聞いてきたり洗濯してくれたり服買ってきてくれたりしてる。
だから豊がいなくなると正直僕は困る。大分困る。
僕が逃げる場所が無くなるし。
とはいってもする事がない。
豊の家の本はどれも料理関係だし
映画は感動系ばかりだ。本当に趣味が合わない。
「はぁー………めんどくさ。」
段々息をするのも面倒になってくる。
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