第2話
それから、山田紀紗季は
そのインパクトが強い見た目と思ったことをズバズバいう性格から生徒会や風紀委員…
見事に親衛隊持ちを手玉にとった。
ドンッ
「いたっ…」
「お前ちゃんと前向いて歩かないと危ないぞ!!
ほら!拾ってやったぞ」
「紀紗季は優しいなぁ」
「本当ですね。あなたもちゃんと紀紗季に礼を言いなさい。」
「あ…ありがとう…ございます…」
明らかに道のど真ん中を前見ずに歩いていた山田紀紗季が悪いのに
生徒会や風紀委員+αは、相手を注意し
逆らえば停学されるかもしれない怖さから
生徒は誰も山田紀紗季に逆らえなくなった。
…一部の人間を覗いて。
実は階級制度にはもう一個裏ルールの様なモノがある。
階級は、自分の能力より上にはいけないが下の階級を選ぶ事はできるというもの。
だから、目立ちたくない者やただ面倒な者は目立たないようBを選んだりする。
階級は、理事長以外見ることは出来ず
自分から言わなければ周りにバレる心配もない。
だが、隠してる者同士気が合う事が多くひと目につかない所で仲良くしていたりする。
「…そろそろ目障りだなぁ」
山田紀紗季の後ろ姿を見ながらぼそっと呟いた。
そんなある日のことだった。
バンッ
「お前いつも一人だな!
俺が友達になってやる!」
ニシシッと笑って僕の机に手を置く山田紀紗季。
「はぁ…汚れてしまったな」
山田紀紗季の手を払い除けてタオルで机を拭く。
「もしかして、恥ずかしいのか!?
大丈夫だぞ!そうだ!今から一緒に飯くおうぜ!」
山田紀紗季の頭の中では、会話が成り立っているのか僕の手を掴もうとする。
「すみません。
僕は早退したと先生に伝えてください。」
隣の席の人に頼み鞄を持って山田紀紗季の横を通り過ぎる。
山田紀紗季に話しかけられたが最後
ひたすら付きまとわれ生徒会達に嫌がらせされる。
そんな面倒な事に付き合っていられるか
「おーいっ!!
恥ずかしからずに出てこいよー!」
階段下の物置に隠れ山田紀紗季が居なくなったのを確認する。
「はぁ…」
ポッケから携帯を取り出し
prr
prr
「もーしもーしっ」
「ゆきだけど。」
能天気な声に今はとても苛々する。
「どうしたのさぁ、そんな不機嫌な声出しちゃってっ!」
「…遂に目つけられた。
今ようやく撒けたけど噂通りのしつこさだぞ…」
「あららぁ~
部屋まで帰れそう?」
「んー、ちょっとキツそう。
まだウロチョロしてる。」
少しだけまだ声が聞こえるんだよなぁ…
「んー、わかったぁ!
それならお迎え行くから待っててぇ
いつもの場所?」
「一回の昇降口近くの階段裏。
早く来いよ、棗。」
電話を切って山田紀紗季にバレないよう体を縮こませる。
棗は、能力判定不能で楽だしという理由でWXの階級。
クラス以外の部屋などはVIP並である。
WXは、別校舎にありこちらの校舎とは違い窓ガラスは割れっぱなしでそこかしこに落書きや穴が開いてたりする。
「ばぁっ!
ちぇーっ、驚いてくれたら面白かったのにぃ」
WXの制服は、黒い学ランで
僕は普通のブレザー
Sクラスなどは白い学ランである。
「鼻歌うたってたらわかるよ。」
棗から差し出された手を掴み立ち上がる。
白髪の天パを無造作に結び口には棒つきの飴。
唇の横にあるホクロが色っぽいのだとか…
「あちゃぁ…失敗かぁっ
あっ、転校生君は違う所行かせたから今のうちに帰っちゃおー」
上履きをぺったんぺったんいわせながら僕の横を上機嫌で歩く。
「何企んでるの?棗。」
「ん~?すこぉし面白い事考えちゃったぁ」
ニタァと笑う棗は、フェロモンムンムンで
つい手が伸びる。
「なぁにぃ?その気になっちゃったのぉ?」
スルッと僕の頬に触れる棗。
「棗こそ、その気になってるんじゃん。
でも帰ってからね」
靴を履きかえて寮に向かった。
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