第二章

第1話

ワカメが居なくなって学校には平和という名のつまらない日常が戻ってきた。


「要ー…面白い依頼ないの?」


アイスを囓りながら横に座ってる要にもたれた。


「んぅー…面白いかぁ……

コレとか?

そういえば、棗は?」


「ん?飽きてきたから放置してる。

んー、これ僕が受ける。珍しくこの学校内からの依頼者だし?」


「受けるのはいいけど、豊もセットでよろしくね?

ゆきはすぐやり過ぎるから!」


「何で俺……」


かき氷を食べていた豊は、げんなりした顔で僕を見た。

そんな顔で見なくてもいいと思うんだけど?


「葵はすぐ悪ノリするし、翡翠も自分達に害がなければ止めないんだもん!

他のメンバーはこれやりたがらないし!!

豊は、頼れるお兄さんキャラだし…?任せたよ!豊!」


「はぁ……それで?何すんの?」


「んー?別れさせ屋?」


「そうだけど、ちょっと違うってば!!」


あれれ?僕が見た感じじゃ、単なる別れさせ屋だと思ったんだけど?


「2つのカップルを別れさせて彼氏達をトレードしたいんだって

だから別れさせてくっつける所までがお仕事なの!」


「僕別れさせるのは出来るけど、くっつけるのは苦手だなぁ」


僕に惚れさせるとかだったら簡単なんだけど…


「だから、そこは豊の出番なの!

豊はそういうの上手だから!」


「お、おおう、褒められてると思っていいんだよな?」


「褒めてるよ!取り敢えず頑張ってよ?

この依頼中々お金美味しいんだから!!」


絶対そこが一番重要じゃーん

要はお金好きだもんなぁ……


「はいはーい。

それで?僕は誰にちょっかいかければいいの?」


4人の写真がPC画面にはあるけど…


「依頼主は、山田尊と山田奏。この栗色の双子ね。

ゆきがちょっかいかけるのは、こっちの二人。

橘 駆と御剣 純介ね!」


うわぁ、何て正反対な2人…

橘が爽やか王子だとすれば、御剣は棗タイプだなぁ


「別れさせるタイミングは同時じゃなくてもいいんだよね?」


「まぁ、そこら辺は豊と話してよ。

豊のやりやすい方でいいんじゃない?」


チラッと豊を見ると


「んぅー、少し、3日くらいあけてくれると助かるかも。」


「おっけー。何してもいいんだよね?」


「壊さなければいいよ。

壊したら意味ないもん!!」


「はーーーいっ

それじゃあ、明日から始めるー。

豊も仲良くなっときなよー。落ちそうになったら教えるからさぁ」


「はいよ。

要、かき氷食わないと溶けるぞ」


「あっ!!忘れてた!ありがとう!豊」


「どういたしまして。」


んー、どう落とそうかなぁ

迷うなぁ


「要、その二人の情報もうあるの?」


「あるよー、はい、これ。

僕かき氷食べるから勝手に見てて」


ほうほう………

この感じなら先に爽やか王子落とせそうだなぁ


「豊ー、どれぐらいあれば足りる?」


「んー、やってみない事にはわかんねぇな。

明日接触した感触次第」


「おっけー!爽やか王子は早々に落ちそうだからこっちのちょいワル君から手つけようかなぁ。

あ、棗が来たら面倒だから要どうにかしといてよ」


「えーー!なんで僕!!」


「だって、豊は僕と一緒に依頼じゃん。

どうにかして学園から離しといてよ」


「何してもいい?」


「いいよ」


そう言うと要は何やら悪巧みを思いついたみたいでニヤニヤしながらまたかき氷を食べ始めた。


ちょっと明日が楽しみだなぁ。




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