第6話

「翡翠、葵起こしてきて。

そろそろ出ないと間に合わない。」


「ん、わかった。」


制服に着替え豊がいれてくれたコーヒーを飲む。

僕と豊はブラック派だけど、要は甘党派だから砂糖やミルクを沢山入れる。


「あっ!ゆき眼鏡忘れてるよ!」


「あ、そういえば…

ありがとう要。」


ずっとつけてなかったからすっかり忘れてたや。


「んんぅー!ねーむーいーーー!」


翡翠に抱っこされて駄々をこねる葵。


「さてと、それじゃ行こうか。」


翡翠が着替えさせてくれたのか葵も着替え終わってるし

今からゆっくり向えばちょうどいい感じかな。


「要、鞄俺が持とうか?」


「んーん!そんなに入ってないから大丈夫!

ありがとう!豊!」


にんまり笑う要の頭を撫でる豊の顔は慈愛に満ちていた。



「ご飯どうする?」


「僕どっちでもいい!」


「俺腹減った~!」


やっぱりいつも人と居ないメンツが

急に一緒に居れば少し視線がくる


「それなら食べてくか。

要はどれにする?」


メニューとにらめっこしてる要


「唐揚げ定食!

豊は?」


豊にメニューを渡し


「俺は、おろし天そば

はい、翡翠。」


豊からメニューを受け取り葵と仲良く見る。


「うしっ!決まった!

翡翠はコレ?」


「…迷ってる。」


2つ指差して悩む翡翠


「それならどっちも頼んで食いきれなかったら俺が食う!

ほい!ゆき!」


「それじゃ、呼ぼうか」


ザッとメニューを見て店員を呼ぶ。


「御注文はお決まりでしょうか?」


「唐揚げ定食

おろし天そば

葵達は?」


「鯖味噌定食と海鮮丼

後お好み焼き!

飲み物は、ジンジャーエールと緑茶ね!」


「あ、飲み物聞くの忘れてた。

要達は?」


「僕は、烏龍茶!」


「俺も同じでいいかな。」


「後、デラックスセット大盛りと烏龍茶1つ。以上で。」


デラックスセットは、和洋中を3品ずつ

毎日日替わりで作ってくれるセット。


「本当よく食うよなぁ」


「ゆきの場合食べた物は全部下半身にいってるからしゃあないっしょ!」


ケタケタ言いながら笑う葵をジトッと見て


「うるさい」


「そんな怒んなって~」


興味がそれたのかまだかなーなんて歌いながら足をバタバタさせる葵。



「ご馳走様でした。」


食べ終わり食後のコーヒーを飲みながらまだ食べてる皆を見る。


「そういえば、棗遅くない?」


何かご飯食べに来たみたいな感じになってるけど

本来は棗に呼ばれてきたんだけど…

そろそろ昼休み終わっちゃうじゃん。


「んほ!?きひぇんふぁん!」


「ちょっと、葵汚い」


食べながら喋る葵を見て眉間にシワがよる


「ゆき、後ろ見て」


豊に言われ後ろを見れば人の山


「アレが何?」


要も頑張って背伸びしてみようとしてるけど

人の壁で見えないらしい


「あ、棗…と誰?」


翡翠が首を傾げてこっちを見るけど

僕の目線からだと丁度見えない。


「僕も見たいっ!」


椅子から降りてぴょんぴょんする要を抱き上げ肩車する豊。


「ゆき!棗が浮気してる!

はわわ…もっさりワカメと浮気!」


「もっさりワカメ?

何?遂に人間やめたの?」


「違う!転校生!山田紀紗季!」


興奮してバタバタする要。


「要、落ちるからジッとしてろ。」


豊に注意されて落ち着く要。


「ふーん、それが面白い事?

なぁんだ、三ヶ月待った甲斐なし。

僕帰るね。」


なんかがっかり。

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