第9話
「久しぶりー要。豊にもお土産。」
他の皆のはポストに入れてきた。
「おかえり!ゆき!
わぁっ!豊!見て!ゾンビテディー!」
ゾンビ風のテディベアで要のお気に入り。
因みに豊には、欲しいって言ってた珈琲豆。
「サンキューな、ゆき。」
「それで?調子は?」
ソファーに座り二人を見る。
「んーとね、こんな感じ」
そういって見せられたのは
棗が部屋で叫びながら部屋をグチャグチャにしたり
心配して訪ねてきた山田紀紗季の首を絞めていたりする動画。
「因みに、山田紀紗季も棗に引っ張られて病みはじめてる。」
「ふぅーん。
そろそろ仲良く首でも吊っちゃう感じだね。」
日が経つに連れ山田紀紗季の目がギラギラして
首を絞められても泣いて笑っていた。
「今も部屋居るの?」
「寧ろ、部屋から出てない。」
「んーとね、これがリアルタイム。」
お、丁度山田紀紗季居るんだぁ。
「それじゃあ、ちょっと行ってくる。」
部屋から出て隣の部屋を開ける。
「棗、もう一緒に逝こう。
そうしたら永遠に二人だ。二人っきり。君と俺しかいない世界。なんて素晴らしいんだろう。
ねぇ?棗もそう思うでしょ?」
泣く棗に、ニコニコしながら話しかける山田紀紗季。
それを見て僕がすることはただ一つ。
ただ一言。
棗にとっての魔法の呪文。
「棗。」
僕が呟くだけで棗は顔を上げ山田紀紗季を振り払い僕の元へ走ってくる。
まるで犬みたいに。
「ごめんっ!ごめんっ!ごべんなざぃいいいいっっ
ずでないで…!何でもするから!!
僕を捨てないで…」
僕にしがみつき懇願する棗。
「君は彼を選んだんでしょう?
これは、君が選んだ結末。でしょ?」
「違うっ!違うっ!!
ゆきがいればそれでいいっ!ゆきしかいらない!いらないのっ!!」
ブンブン首を降って強くしがみつく棗を見て山田紀紗季の心が
かろうじてもっていた心が壊れる。
「それじゃあ、彼になんて言うの?
棗はイイコだから出来るよね?」
ニコっと笑って言えばコクコク頷き山田紀紗季を見る。
「ゆきが迷惑してたからゆきから引き離す為だけにお前に近づいて
それだけじゃ生温いから俺に惚れさせて俺以外見えないようにした。
だから、キミハモウイラナイ。」
つーっと涙を流し固まる山田紀紗季をちらっと見て僕はその場を後にした。
棗は着いてきたけど特に気にせず要の部屋に戻った。
「おかえりー
本当いつか刺されても知らねぇぞ?」
「そんな事言われてもねぇ
趣味と実益兼ねてるからしょうがない。」
棗の出方次第ではあったけどね。
「要、完了報告頼んでもいい?」
「あいあいさー!」
僕は、壊し屋というのをやってる。
関係や相手の心、相手の体を壊す。
まぁ、たまに物も壊すけど。
皆何かしら趣味と実益を兼ねてるモノをやっていて
ジャンル分けはしてあるが、1つの何でも屋みたいな事をやってる。
ホームページを開けば何をしたいかによって開くページを変える。
お風呂場に入り自分の服を脱ぎ棗の服を脱がす。
「棗、目瞑って」
言われた通りに目を瞑ったのを見てシャワーで髪の毛をぬらして髪の毛を洗う。
せっかくのふわふわの髪がゴワゴワになってる。
「ゆき…怒ってる…?」
「怒ってはないよ。
ただ、棗は僕が大事とか言う割には誰にでも体を許すんだなって幻滅しただけ。」
シャンプーを流してリンスをつける
「違うっ
大事なのはゆきだけ!ゆきしかいらないっ!」
「棗動かないで。」
ぶんぶん首を振る棗は僕の言葉を聞いて止まる。
「はい、綺麗。」
リンスを洗い流し二人で湯船に入る。
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