5話 パートナー訓練
「なぁ、あいつは誰なんだ?」
「うん? ああ、あいつのことね。あいつの名前は忘れたわ。あまりにもおもしろくないことを言うもんだから記憶に残らなかったのよ。まあ、B
B
そんなやつと勝負したら絶対に俺が負けるな、と、当たり前のことを思う。
このあと何もないといいんだけどな。
「これで、やっと『あれ』ができるわ」
「あれ……? なんのことだ? 何をするつもりなんだ?」
「はっ……? あんたの訓練よ。拳銃ぐらい使えるようになってもらわないと話にならないわ。そうね、初心者でも使いやすい『SAA』とか『USSR系』のやつとかオススメよ」
ちょっとまて。
確かに訓練すること事態は別にいい。
けど、拳銃の種類なんて俺が知ってるわけないだろ! 使ったこともなければ、見たことすらないわ!
「どうしたのよ! パートナーになったんだからそれぐらいはしてもらうわよ」
「いや、そっちじゃねー!」
「はっ? それじゃ、なんなんの?」
「いや、拳銃の種類なんて俺は知らねぇよ!」
「はぁー? そこからなの? それじゃ、今から買いに行くわよ」
「えっ……? どこで?」
「あんたってさ、先生の話とか一切聞いてないの? 売店があるって話があったでしょ? そこに、拳銃とか、それらの弾もあるって」
いや、なんでそんな物騒なものを学校で売ってるんだよ!
うん? そういえば、勝負のときとかでも使えるとかそんな話をしていたような……。
「何してんのよ。早く行くわよ! 少しでも早く訓練を始めたいんだから」
そんなわけで、俺は売店に行くことになった。
売店に行く途中、高校専用の
たぶん先生からも聞いたんだろうけど、全然覚えてない。
俺としてはE
そもそも、二人の合意というのは、ほぼ建前。勝負を挑まれたら、受ける以外の選択なんて、基本ない。
ちなみに、最初の所持金額は
売店につくと、本当に拳銃を売っていた。
というか、拳銃以外にもたくさんのものが取り揃えられており、地雷などの爆弾系から刀や剣などの近接系のものまである。
マリーは真っ先に拳銃の置いてあるコーナーまで行くと、手頃な金額の拳銃の中から、初心者でも使いやすいものを選んでくれているようだった。
なんだかんだ言って、そういう優しいところを見せられてしまうと、少しドキリとしてしまう。
「そうね、あんたでも使えそうなものとなると、
そう言って、彼女は一丁の拳銃を手に取ると、俺に差し出してくる。
俺はその拳銃を受け取り、どんな感じかいろいろ確かめてみる。
そうして、一通り試していると、一丁の拳銃が目にはいった。
その銃は、
「なあ、マリー。あの拳銃はどんな感じなんだ?」
「うん? ああ、その拳銃ね。その拳銃はコルト・ディテクティブスペシャルという拳銃よ。簡単に説明すると、探偵とかそういう人たちがよく使ってたわね」
そうやって彼女は、俺に説明してくれる。
これも、パートナーだからということなのだろうか? まあ、そうじゃなきゃその必要もないのだが……。
「でも、その拳銃は威力がないのよ。だから、人気ではないわ。それに、その拳銃は
マリーは
細かい違いなんかはわからないが、使い勝手は自動式拳銃の方がいいのだろう。
ここは素直に従った方がいいと俺は判断し、自動式拳銃の中から一つ気になったものを手に取る。
そんな俺に、マリーは何も言わずに見守ってくれている。こういうのは自分にしっくりくるものがいいということをちゃんと理解しているのだろう。
だからこそ、時間をかけて慎重に自分にあったものを見つけられるように努めてくれている。
ちょっとポンコツな部分もあったが、やはりA
そうして手に取った拳銃に、何かピンとくるものを感じる。
「その拳銃はS&WM39という拳銃よ。そうね、いろいろなモデルがでてるけど、まあ、別にいいと思うわよ」
割と長い間その拳銃を見ていたのか、マリーがそう教えてくれる。
俺でも問題ないとマリーが判断してくれたということならと、俺はこの拳銃にすることにした。
「すいません、この拳銃──」
「700ゴルだよ」
店員は俺の言葉を途中で遮り、値段を教えてくれる。
そして、俺は購入するために一つの機械に手をかざす。
それで支払いは終了したようで、俺はS&WM39を手に取る。
この拳銃を持っていると落ち着くというか、安心するというか……なんともしっくりくる。
「それじゃ、訓練といきましょう」
そうして、俺の訓練は始まるのだった。
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