プロローグ─私の終わり

「う……あ……こ、殺してくれー!!」


 そんな、男の人の悲痛な叫び声がその場に木霊する。

 そんな叫び声に私は一人、ゾクゾクする。


「ねぇねぇ、君はこの世で一番辛い刑って、なんだと思う?」


 私は相手にとても優しく、可憐で女の子らしい声で話しかける。


「殺せっ! 早く、早く殺せよ。頼むよ、殺してくれ。これ以上、苦しみたく、ないんだよ! 」


 男は質問に答えようともせず、ただただ自分の欲望を言うだけ。これでは、なんともつまらない。せっかく、ここまで追い込んでいるのに。


「ねぇ、私の質問に、答えてくれないの?」


「なっ! 答えたら、殺してくれるのか……? 」


「答え次第だけどね☆ それで、私のした質問の答えは?」


 ああ、なんて答えるのだろう。それだけが私の高揚感を高めてくれる。なんて、素晴らしいことなのだろう。


「そ、そんなの、死刑に決まってんだろ? し、死んだら、元も子もない 」


 さっきから、自分を殺せ殺せと言う人の台詞セリフとは思えない答えが返ってきた。がっかりした。なんて、つまらない答えなのだと。あれだけ、期待してこれでは、なんとも肩透かしでしかない。

 だから、


「殺してあーげない☆ 」


「な、なんでだよ! 頼む、頼むから。こ、殺してくれっ!」


「じゃあね。今度は負けないようにね☆ 」


 私はそう言って、その場をあとにした。男の断末魔とともに。 


 ❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈


 死刑、ね。まあ、人によってはそうかもしれないんだけどね。でも、わ☆た☆し、的には無期懲役なんだよね。


 そんなことを思いながら帰っていた。

 

 なんの一日が、いま終わろうとしている。

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