入学式から俺はピンチなようだ。2
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁー。ここまで逃げれば、大丈夫、か……?」
「おい、待てっ! お前も
「クソっ! まだ追いかけてきてるやつがいたとは……」
そんなわけで、俺はまた走りだす。
けど、何者かに手を掴まれ、
「あなたなんでしょ?
すぐさま聞こえてきたその声に、俺は慌てて振り返る。
すると、そこにいたのは、金髪で、胸の大きな女子生徒だった。
彼女に確信をつかれ、動揺しながらも、俺はなんとか声を絞り出すように言う。
「ち、違う」
「そう……。私にはわからないから、それじゃ、戦ってくれる? そして、負けて」
「そんなことを素直に、はい、と言うやつがいると思うか?」
「ふ〜ん。それじゃ、やっぱりあんたで間違いないわね」
「なんで俺だと思うんだよ。普通に考えて、そんなことを言われて、素直に、はい、と言うやつなんていないだろ?」
「そうね。あんたの言う通りよ。普通ならね」
「どういうことだよ。普通だろ! 普通の反応以外のなにものでもないだろっ!」
「私の
「
わけのわからないことを言われ、その場をあとにしようとする。
「あんたがここを離れた瞬間に、大声であんたのことを叫ぶわよ? 」
はっ……? こいつ何言ってんだ? てか、俺がここにいることをバラすことになんのメリットもないだろ。
いや、これは俺を脅してるということなのか。
確かに、さすがに大勢で追いかけられることになると、逃げ切るのは難しくなるというものだろう。
つまり、彼女はそういうことを言いたいというわけだ。ここから離れるな、と。
「それで、俺に何をさせるつもりだ?」
「そうね……。その話はとりあえず、一旦おいといて、まずは私の
それはつまり、俺が生徒会長の言ってた人物であるということの裏付けだ。俺と戦い、ランクを三つあげるために。
「ねぇ、さっきの生徒会長の言葉。そして、
これって、ピンチだよな?
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
時は、入学式が終わってすぐに戻る。
「
「何を言い出すかと思えば
「それもそうね。で、会長はこれを思いついた張本人だけど、E
「そうですね、あの人だけが生き残るんではないですか? もちろん、私は一切手をだしませんからどうなるかまでは、わかりませんけど……」
「なるほど、生徒会長は
「それは、誰が残るのか楽しみという風に捉えていいということよね?」
「はい、そういうことです。そうしないと、つまらないですからね」
「私はさすがに疲れた。私の
「もちろんいいわよ。
「それじゃ、私は休む」
「試験が動きだしたら、私が呼びにいくね」
「頼んだよ」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
どう切り抜けるか。それだけを考える。
このままじゃ、目の前の金髪の美少女にボコボコにされて、入学式の日だというのに退学することになってしまう。
「ふふ、安心してちょうだい。ちょっとからかってみただけよ。私の
「それなら、俺をどうする。というより、何が言いたいんだ?」
「言葉通りの意味よ。あんたと
「パートナーってなんのことだ? 」
「ここでの初の試験から卒業までの試験において、二人一組で取り組まなくちゃいけないのよ」
「なんでそんなことをお前が知ってるんだよ。それに、なぜ俺と……」
卒業までということは、これからの学園生活がかかってるということだ。
それなのに、わざわざお荷物になりそうな最低
「知ってる理由は秘密よ。ただ、あんたを選んだ理由は私の
まるで、棚からぼた餅だ。
こんなの、断る理由がない。
なにかあるのだとしても、今は気にしなくていいだろう。今、逃げ切ることができるなら。
「わかった。そういうことなら組むけど、俺は
「わかってるわよ。それじゃ、
「俺の
「そうよ。それで、あんたの
「俺の
「はっ? わからないってなに。そんなわけ無いでしょ」
確かにその通りではある。ただ、何もわからないというわけじゃない。どういう効果の
つまり、名前しかわからないというわけだ。
「名前は? とりあえず、名前だけでもいいから言ってみなさい。どんだけ使いものにならない
なんか勘違いしているようだった。
わからないというのが、俺の
と、まあそこまで言うのであれば言うしかない。
「名前は、『
「名前の感じからして、使いものにならなそうな感じはないわね。それで、どんな
「わからない。これは本当なんだ。今まで、この
「それってつまり、どんな
「俺は
俺は、もう開き直ったかのようにそう言う。だって、てきないのだから。
「いや、開き直るところじゃないでしょ。拳銃ぐらい使えるようになりなさい! そうしないと、本当に話にならないわ」
そう言われてしまった。
まあ、当然といえば当然のことだ。
今の時代、
それでいて、特技も何もなければ話にならない。
つまり、彼女の言う通りだということだ。
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