後継ぎ

ところで、魔王が戻ったと言っていた。


「出た、って。そんなに何度も現れるんですか?ドラゴンのクエストだって何百年と経ってますよシリーズ間で」


夕食後に、部屋に案内された。なかなかにいい部屋…ベッドに顔をもふっとさせたい……のを我慢して、とりあえずリュカの話を聞くことにした。


「なんだそれ。わかんねえけど、魔物がたくさん出るってことはそういうことなんだよ。この数百年、魔物が人間の街に来るときは、いつも魔王が侵略しようとしている時だ」


なるほど。魔王、世襲制とかなのかな。王が死ぬと次が引き継ぐタイプ?


「だからリュカがまた旅に出なきゃいけないのよねぇ、あ~あ勇者ってたいへ~ん」

「なんで他人事なんだお前は。お前も一緒に行くんだろうが」


カリンは窓際に座って、脚を組んでいた。あとでベッドにツバ吐いとこうなんかムカついた。まだ胃もムカムカしてるし。…これは食べ過ぎか。


「まあ最近魔物の動きも酷いという報告も聞くし、被害も出ている……。はあ……、3ヶ月しか休めなかった…」


リュカはうなだれた。3ヶ月。前回の旅が3年かかり、かなり疲弊して実家で休養していたと続ける。さすがにかわいそうだが、


「がんばってください」

「がんばれ~」

「がんばってねぇ」

「おう…って、ん?」


リュカがカリンの方を見る。ん?仲間なのでは?応援する側じゃないのでは。


「あらやだぁ、ワタシもう歳だもん♡」

「なに言ってんだババァまだ31だろうが!!」

「んだ若造がもう31だろうがババァってさりげなく呼ぶなや!!」


ババァが突如すごい剣幕で怒鳴った。怖い、歳を重ねるのが。


「だからぁ、ちょっと後継ぎでも作ろうと思ってぇ」


ババァが私を見る。そして、


「ぽんっ☆」

「あ?」

「ほ?」


私の体が光って、手には杖。そしてフリフリのスカート。

そしてユカは小さいドラゴンになっていた。


ん?

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