ゲーヤ街にて

何回目だろう、誰かに覗き込まれながら目を覚ますのは。


「あー!またリサおねんねしちゃってたんだよ!?」

「おい、大丈夫かって聞く前に何をしたか質問していいか」

「…何って」


起き上がり、周りを見渡す。やけに目が開けやすいと思ったら、あたりはそんなにも暗くなかったし、なにより、目の前にある建物が上からの光を塞いでいるからだと気づいた。

ただ大きい、という言葉で表すにはたりなさすぎる。荘厳で、ディテールがしっかり作り込まれており、特にその色。濃い紫、もはや黒に近い色合いの城。横幅を歩けば、5分はかかりそうだ。

そして、空は暗雲が立ち込めている。時々稲妻が走るほどだが、雨は降っていない。


「………どこここ。」

「魔王城だよ魔王城!!!!お前!!カリンでもワープできないような所になんで…!!」

「あはは!すっごーい!!ねえ浮いてるよこのお城〜!!」


地面をを掘り出して、空中に浮かす。その上に建てられた魔王城のよう。なぜだ、この周辺は魔力が強いからワープができないのではなかったか。


「おいおい…!まだお前まともに魔法も扱ったことすらないのに…!というか本当にお前がやったのか…!?」


リュカもわけがわからなくなっている。頭を抑えて必死に状況を読み込もうとしている。


「えーと…、たぶんなんですけど」

「なんだ」


ユカは城の入り口の扉に飛んでいって開けようと試みている。


「カリンさんが、私の魔力が強いって言ってたんです。それで彼女の魔力と知識を貰って……、で、魔王城行くのめんどくさいな〜って強く念じたんですよ」

「……だからつまり…、お前の元々の魔力が強く、コントロールできないから、念じただけで来てしまった…、と?」


リュカは少し考えて、納得したようだった。


「だが…―」

「開いたよー!!」


能天気の方から、ギギギ……と音がする。見れば、入り口のような扉の前に、巨人が倒れていて、扉がゆっくりと開いてるところだった。


「も〜、二人が話してる間ドンパチ大変だったんだからね〜!!」


こいつ、殺ったのか…?1人で?どうやって。


「リュカさん」

「なんだ」

「聞いてる?ねえ私の武勇伝聞かない?」


ユカは私達の周りをうろちょろ飛び回っている。そのしっぽを掴んだ。


「ぎゃ!」

「嫌な予感がします」

「……オレもだ」

「ねえってばー!」


わりと当たるのだ。こういう時の勘は、人間、当たるのだ。

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