歩け
王様と会ったあと、装備を整えた。あのゴスロリ服をやめ、防具屋オススメの、質素な黒コーデワンピースに変えてもらった。カリン曰く、あの初期服は防御力皆無ということで燃やしておいた。今頃風呂の燃料になっている。
武器屋でステッキも買った。魔法使いの、それっぽい木のやつ。うん、ぽいぽい。魔法使いって感じだ。
そういえばユカがドラゴンになった原因はカリンにもわからないらしく、だがおそらく魔法を受け継がせた余波でそうなってしまったという。小さければ魔法使いの使い魔に見えるから、たいして問題もないという。…だからモンスターでもみんな平気な顔してたのか。
翌日に、街の外に出た。平原が広がっていて、少し先に森が見える。きっとあそこから来るはずだったのだろう。原っぱの草は、まだ枯れてないし、むしろ緑が綺麗で。気温的にも春、といった感じだ。
「それじゃあ頑張ってねぇ」
見送りに来た女の首を掴む。
「いやワープとか使えばよくないですか?行ったことあるんですよね?魔王城」
「苦しい苦しい!!歳上になんてことするの!」
「意外と容赦ないな、おまえ…」
「つい…」
リュカもそれを止めなかったところ、まあ責任は多少感じているのだろう。ユカは私が首をしめると、ケタケタ飛びながら笑っていた。
「ワープは一度行ったことがある場所ならどこへでも行ける…けれど、魔王のお城の近くって、魔力が強すぎてワープできないのよねぇ」
「ご都合主義に理由をこじつけるからテンプレになるんだ」
重要な場所にはワープができない。お決まりだ。
「さて…行くか」
「わーい!冒険ぼ〜け〜ん!」
「はぁ…」
気が重い。カリンの魔力をもらったときに彼女の知識が頭に膨大に入ってきたせいか、昨日から頭が痛い。
後ろで手を振るカリンを少し見て、歩き出してやや数秒。前を行く二人の姿がかすみ、そのまま目の前が真っ暗になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます