旅へ出る

いったい何に怒っていたのか、と聞けば金属に怒っているらしい。意味がわからない。もうほっといた。


「それで、俺が街へ連れてけばいいのか」

「そうよ。この村じゃあんたくらいしか森は通り抜けられないしね」

「俺いま街から帰ってきたばっかなんだけど」

「それじゃ明日出発ね。ユカちゃん、リサちゃん。元気でね。困ったら手紙をよこしてね」

「はい、ありがとうございます。色々親切にしていただいて…」

「ありがとーおばさん!」

「いいのよ!困ったときはどんなときでもお互いさま!」


おばさんは笑ってそういってくれた。不服そうなリュカにも一言。


「ごめんなさいリュカさん、巻き込んでしまって…」

「ああ…、いいよ別に」


そういってどこかへ行ってしまった。怒らせたのだろうか。そりゃあ、遠い街から帰ってきた直後にまた行けなんて言われたら嫌だろう。


ユカはその後ろについていった。彼の周りをうろちょろして、行く手を阻んでいる。困った顔を見て、笑っていた。なんだ、仲良しじゃん。

どうしていきなり初対面でドロップキックなんて?

まあいいか。

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