ユウシャ
庭の端っこに、厳重にしまってあったのよと、おばさんは不思議そうに言うだけだった。
お昼ご飯はイタリアン……のようなものだった。ほかほかのパンがとても美味しそうで、トマトソースのいい香り。仕事後のご飯はいいものだ。お腹が鳴る。
席について食べ始めると、おばさんがそうだ、と切り出す。
「今日息子が街から帰ってくるのよ」
ここは小さな村で、週に二度、街へ買い出し班(当番制、なお欠席の場合は速かに代行を立てて申し出ること)が行くらしい。そして息子が帰ってくると。
「だから明日、街へ連れて行かせるから、そこで仕事を見つけたらどうかしら」
「それはいいですね、ぜひ…」
「えっ!?リサ仕事するの!?頼むね!?」
何をと言わず。こいつは捨てなければ。
何はともあれ仕事をしなければ。ファンタジーな世界に飛ばされたとしても、生きていかなければならぬ。そう思って、おばさんに相談していたのだ。居候する気満々のユカは、昼ごはんのスパゲッティを貪りながら私の方を見た。
「ただいま〜」
「あら、噂をすれば」
ドアをあけて入ってきたのは、やけに重装備の男。
「誰?」
私達を見て、その一言を言い放った。椅子に座る私達を見下ろしてきて、金髪が少し眩しい。
「まっ!失礼な!かくしかじかかく。」
おばさんの説明に39399いいね。
「あの時はお世話になりました」
お礼をしておこうと頭を下げると、大した怪我がなくて良かった、と青年は笑った。少し冷たい印象もあったのだが、柔らかい笑みだ。
「村に被害が出るっていうから退治しただけだしさ。で?街で仕事…ー」
「てりゃーーーーーーッ!!!!」
「うっわ何すんだよ!」
ユカは男にドロップキックを突然。ギリギリのところでそれをかわして、ユカを不思議そうに見る。
「…ごめん、アタシ金属アレルギーで…ッ」
嘘をつけ嘘を。
「ったく…なんなんだよ………、俺はリュカ。よろしく」
「よろしくお願いします」
「…ます」
ドロップキックをしたあと、私の後ろに隠れてきたユカの頬が膨らんでたから、破裂させといた。
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