怖いこと
リュカも結局、丸めこまれて渋々了承した。カリンがそこまで言うなら、まあ大丈夫、とのことで。なんだ、まあって。
「じゃあ、頑張ってねぇ。これ呪文書。困ったらここに色々と書いてあるから。魔力はともかく、知識をコピーしてあげたと言っても、曖昧な感じなのよ。少し魔法に関して閃きが増す…っていうか、魔法は知ってるんだけど使えないみたいな、そのぉ…」
なんだその仕組みは。
「つまりハサミは知ってるけど使ったことないから、切る練習をしないと、みたいな」
「そう!それ!」
「いいなー!その呪文書!あたしも欲しい!」
呪文書を見てしっぽをふっている。かわいいな。
「結局…巻き込んでしまってすまない」
リュカが今更謝ってきた。
「別に、やることないからいいんですよ。けど、私のこと、得体のしれない女って言ってたの忘れないですよ」
「……すまん」
そりゃあ、ドラゴンの腹の中に入っていた女と羽にしがみついていた女なんて、ましてや記憶がない、だなんて怪しいに決まっている。仕方がないけど、謝るリュカが面白くて。
「まあ何かあったら184ページに書いてある方法の召喚術で呼んでね」
「じゃあ元から来い!」
「いやん♡ワタシちょっとやることあるんだもん」
「なんだそれは!」
「終活」
「嘘もほどほどにしろよ…」
「いった~い!」
リュカの拳がカリンの頭にめり込んだ。
「大丈夫大丈夫!素質あるってなんかわかんないけど魔女のそれっぽい勘で見抜いてるからぁ」
なんだそれっぽい勘って。カリンは私の耳元へ来て、つぶやいた。
「でも気をつけてね。実はアナタには元々魔力が備わっていた。それも尋常じゃないほどの。普通の人には見えないけどね。記憶がないなら仕方ないけれど…その魔力を狙って来るものが現れるかもしれない。気をつけてね。」
何を言ってるかわからない。元々備わっていた…わけがない。私はただの女子高生だったのに?
リュカが青い顔で、もう寝る、と言ってベッドに入ったので、私達女子も別室で休むことにした。ユカは部屋にピュー!と、飛んでいき、私のベッドに入り込み、早々に寝ていた。そういえばなんでコイツドラゴンなんだろう。
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