冒険
似合っていないのは、私の嫌そうな面だけ。
「カリンさん?」
「あらいやねぇ!もっと可愛い顔しなきゃもったいないわぁ」
リュカもどういうことだ、と困惑しており。
「あれ!?これアタシドラゴン?ねぇもしかしてドラゴン!?ちっさいドラゴン!?ヒューウかっこいー!」
騒ぐ馬鹿もおり。
「もうワタシもいい歳だからぁ、後継ぎ決めなきゃって思ってぇ…でも修行とかめんどくさいし適性見極めるのも面倒だから、もうワタシの魔力と知識、コピーしてあげちゃお★って…」
「だからってこんな洋服着せることあります!?ねえ!」
この世界、よくあるタイプで中世のヨーロッパっぽいなんかよく想像できるああいう服装だから、ファンタジーな世界と言ってもこれは目立つ。こんなゴシックダークフリフリニーハイなんか頭にリボンカチューシャって…。
「ツッコミどころを履き違えるなよリサ…。ともかく、オレはこの無責任ババアと話をつけてくる」
「いやん、強引…って首しまる首!」
カリンの首を絞めながら、廊下に消えていった。バタン、と閉まるとリュカの大声。
以下、痴話喧嘩。
『なに考えてんだオメーは!あいつはどこから来たかも得体のしれない女でここには仕事探しに来たんだぞそれをオマエ勝手に』
『なによ勝手なのはそっちじゃない!だいたい報酬も3人で山分けって言ったのにあんたが「オレはこれで充分だ…」…とかカッコつけて持っていきやがって!あのネックレスワタシとルキでどっちにしようかって考えてたんだからね!』
『関係ないだろ!というかあれはおふくろにあげたかったんだよ!つーか欲しかったなら言えばよかっただろーが!』
『そんな隙もくれなかったじゃないバカバカバカァ!』
「なにこれ」
私の代わりにユカが。
よく見るとユカのドラゴンのデザインがかわいい。暗い紫に、しっかりした羽の根本、硬そうな鱗、二本の後ろに反り返ったツノ、それからかわいい目。
「いっった!!」
とりあえず元凶はこいつのバキュームだったと思うので目潰しした。
頭が痛い。いろいろと。カリンの知識が頭に流れ込んできて、魔法の使い方やらなんやら、体に染み付いていく感じが手にとってわかる。
こんなコピーできてしまう魔法が使えるなんて、実は彼女、とんでもない大物なのでは。
…そういえば魔王を倒した1人。大物だった。
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