第12話 寮生活への準備
「じゃあ朝ご飯も食べ終わったし、買い物に行きましょうか」
「はい。店のあてはあるんですか?」
「もちろんよ。付いて来て」
言われた通り、アテナさんに付いて行く。
今回の買い物については何も心配していない。
服については何も言われなかったし、生活必需品は日本とあまり変わらないだろう。
ホテルに置いてあったものも日本のものとあまり変わらなかったし。
「どんなものが欲しいとか希望はある?」
「いえ、別になんでもいいですね。しいて言うなら色は黒色が好きです」
「……黒なら何でもいいの?」
「ええ。変な柄じゃなければ基本何でもいいです。できれば柄なしが望ましいですね」
「……そ、そう……なら私が適当に買っていいの?」
「はい。問題ありません」
「……わ、分かったわ……でも一応、確認してね」
「もちろんですよ」
「この店なんだけど、選んでくるからちょっと待ってて」
「はい」
……え?自分のものぐらい自分で選べって?
だって仕方ないだろ。
俺はこの世界でどんなものがいいのか分からないし、アテナさんの方がよく知ってるし。
何より、俺は色が黒なら大方大丈夫だし。
「ミツル!ちょっと来て!」
「は、はい。なんですか?」
「必要なもので、黒のものを集めてもらったのだけど、どうかしら?」
俺は一通り並べられたものを見る。
これと言って指摘する点がない。
サイズも俺にあったものを選んでくれたようだ。
アテナさんが選んでくれたのだから大丈夫だろう。
「これで大丈夫です。選んでくださってありがとうございます」
「いいわよ全然。じゃあこれまとめて寮に送っておいてもらうわ」
「そういう業者がいるんですか?」
「いいえ。この店が寮まで運んでくれるそうよ」
「そうなんですか……ありがとうございます」
「いえいえ。新生活をお楽しみください」
店の人に見送られ外に出る。
……これからどうするつもりなのだろうか。
思ってたよりも時間空いただろうし……
「あ、あの……これからどうするんですか?」
「うーん……そうね……時間はまだあるし……適当に王都内歩いてみる?」
「……特にやることもないですし、そうしますか」
「じゃあ、私が色々なところを紹介してあげるわ」
「おお!よろしくお願いします!」
紹介してくれるなんて実にありがたい!
これからいつ王都に出るか分からないし、こういった情報は役に立つ。
何より、世代ナンバーワン剣士であるアテナさんからの情報なのだ。
とてもいい情報が入ってくるに違いない!
……今更だけど……めっちゃ今更かもしれないけど……
アテナさんめちゃくちゃ頼りになるわ……
本当に、感謝しないと。
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