第11話 制服姿

 ……知らない天井だ……

 ……嘘ですごめんなさい。実は寝る前に見てますこの天井。

 一回言ってみたかったんです許してください。

 ……取り敢えず時間を確認する。

 朝の六時前か……まだ寝れ――ないんだったな。

 異世界に転生して、今日は六時には起きておかないといけないのだから。

 まだ完全には目覚めきってないが、無理やり起きる。

 ……そういえば、服どうしよう……

 寝間着は置いてあったから良かったものの、今日着る服がないぞ……


「ミツル。起きてる?」


「ア、アテナさん!?起きてますけど……」


「届け物があるんだけど、開けてくれない?」


「わ、分かりました。今開けます」


「ありがとう。それで届け物だけど、今日から着ることになる制服よ」


「おー!ありがとうございます!」


 いやー、アテナさんの準備が良すぎてなんか怖いわー……

 本当にとてつもなく嫌な予感がする……

 ……しかし、制服がカッコイイな。

 できるだけ動きやすくし、その上でデザインを考えているのだろう。

 デザイナーに感謝だな。

 こんなカッコイイ制服を着ることができるなんて。

 ……似合うだろうか?The・凡人のこの俺に。


「着替えたら降りてきて。朝食があるから。入学式は九時からだけど、その前に生活必需品も買って寮に送らないといけないから」


「……それ、今からだと遅くないですか?確かに学校はここから近いけど……それでも時間的に無理がありますよ」


「大丈夫よ。寮への荷物は私がなんとかするから。取り敢えず早く着替えて、朝食を食べてから買い物に行きましょう」


「……分かりました。着替えるので先に下に行っておいてください」


「了解よ。下で席に座って待ってるわ」


 アテナさんがこの部屋から出て、鍵をかけてから着替える。

 ……だってほら、着替えるの見られたくないじゃん?

 着替え終わり、鏡で自分の姿を確認する。


「お〜……似合ってる、のか?」


 正直なところ、俺はファッションには疎い方だと思う。

 え?前の服装見りゃ分かるって?

 全身黒で何が悪いんだ……一番安定の色じゃないか……

 ……その時点でファッション疎いの丸わかりですかそうですか。

 ……取り敢えず下へ降りることにしよう……

 アテナさんが待ってるしな。


「お待たせしました。アテナさん」


「……うん。なかなか似合ってるわね」


「え、あ、ありがとうございます……」


「じゃあご飯食べようか。今日の朝ご飯は目玉焼き定食らしいわ」


 ……今日の朝飯は目玉焼き定食……

 やっぱり日本で馴染みのある料理が多いようだ。

 それはそうと……うん……

 似合ってるって言ったときのアテナさんの笑顔……綺麗だったな……

 一瞬女神がこの世界に降り立ったのかと思っちゃったぜ……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る