第7話 チートではないスキル

 さて、これからどうするか……

 取り敢えずこの集落から出るか。

 こんな血なまぐさいところにいていられない。

 ……うん?手に傷が……

 さっきの戦いで相手を殴った時に奴の爪にかすっていたのか。

 ちょうどいい。

《自然治癒》のスキルを試そう。

 自称神曰く、《自然治癒》はチートじゃないらしいし。

 ……あんま信用できないけども……

 まぁ、取り敢えず……《自然治癒》使用。


「お?おおお?おおおお!治って――」


 って、ん?

 これは治ってるのか……?

 いや、治ってる治ってる!

 傷がちょっとずつ塞がって――


「って遅すぎるわ!!なんでこんな傷一つ治すのに二十秒もかかってんだよ!?他がチートだらけなのにこれだけ雑魚すぎだろ!?使える場面ほぼねぇじゃん!!」


 はっ!!で、でもこのスキルなら使っていいんじゃないだろうか!?

 なぜなら全くチートではないから!!

 よし!!このスキルだけは使っていいことにしよう!!

 俺はこういうスキルを求めていたんだ!!

 チートじゃなくて、どこにでもあるようなスキルを!!


「到着だ!!住民は無事か!?」


「いや……残念だが……」


「クソッ……敵はどこだ!?」


「おい!!もうすでに倒されているぞ!!」


「なに!?誰がやったんだ!?」


「分からん!!しかし、かなりの手練だ!!」


「おい!!生き残りがいたぞ!!」


「君!!何があったんだ!?」


 あれ?俺もしかして村の住人と思われてる?

 なら……


「じ、実は俺一人だけになったときに、見知らぬ人に助けていただきまして……」


「な、なんだと!?そいつはどこに行ったんだ!?」


「さ、さあ……気付いたらどこかに行っていました……」


「そ、そうか……分かった。取り敢えず王都に来てもらう。事情聴取もしなければいけないし、住むところも用意できるからな」


「分かりました。それで、その……自分を鍛えられる場所とかありますか?」


「ああ。あるが……なぜだ?」


「自分の力で戦えるようになりたいんです」


「……なるほど……分かった。紹介しよう」


 ……計画通り!!

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