第20話 ルームメイト

 階段を登り、俺に与えられた部屋があるであろう二階に着く。

 鍵に部屋番号が書いてあり、その数字が《204》だったので二階だと予想したのだが、あっていたようだ。

 元に階段の正面にある部屋のドアには《202》と書いてある。

 その左側にある部屋は、《201》。

 つまり、右側に俺の部屋である《204》があるはずだ。


「えーっと……あ、あった。ここだな」


《204》のドアノブに手をかける。

 頼む……頼むからルームメイトは俺が平和に暮らせるような奴であってくれ……!


「し、失礼しまーす……」


 ドアを開けて部屋の中に入る。

 するとそこには、ローズの兄に引けを取らない、というかそれ以上の爽やかイケメンが立っていた。

 まるで漫画やラノベのキャラクターみたいだ。

 ……爽やかイケメンというのは俺の第一印象に過ぎないが……


「おっ!来たね。じゃあ、早速自己紹介しようか。僕の名前はボーグン・ウェヒター。よろしくね。ミツル君」


「あれ?なんで俺の名前知って……って、そうか。そりゃ知ってるか」


「流石にあそこまで騒ぎになるとね……。もうこのクラスで君を知らない人はいないと思うよ?」


「そうだな……。全く、とんだ災難だったぜ……」


「ははっ。僕は見てて面白かったけどね。それより、もうすぐ学園内を見学する為に寮の玄関に集合する時間だから、早めに自分の荷物が全部届いているか確認したほうがいいよ。」


「マジかっ!?」


 なら、急いで確認しなければ。

 流石に連続で遅刻するのはマズイ。

 えっと……俺の荷物は……あ、あった。これだ。

 一応、全部届いてるかどうか確認しておこう。


「……うわっ!黒ばっかりだね!」


「……それが何か問題でも?」


「いや、問題はないけど……」


「……いいんだよ。俺はこれで」


 ……よし。必要なものは全部あるな。

 取り敢えず、全て箱の中に戻しておこう。

 時間もあまりないようだし、荷物を整理するのは学園内の見学が終わってからでいいだろう。


「荷物の確認はできたかい?」


「ああ。一応な」


「じゃあ、そろそろ玄関に向かおうか。集合時間も迫ってきていることだし」


「そうだな。行くとするか」


「ああ……あ!ちょっと待った!行く前に君に聞きたいことがあるんだ!」


 ん?何だろうか?

 考えられるのはナンパ冤罪事件か、スキルのことぐらいだが……

 後で話せばよくないか?それぐらい。

 時間がない今に聞かなければいけないほど大事なことなのか?

 だとするなら……一体何を――


「ミツル君はベッド、上か下かどっちがいい?」


「いや死ぬほどどうでもいいな!!後でいいだろそんなこと!!まぁしいて言うなら下がいいかな!!」


「ははは!分かったよ。じゃあ、僕は上だね」


「そうですね!!そんなことどうでもいいから急ぐぞ!!」


「ああ。そうだね。……やっぱりミツル君は面白いな」


「……お前……いい性格してるな……」


「それほどでもないよ」


「いや褒めてないから……」

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