5-2 合宿一日目
学校を出てから長い間山道を走る。
「ティアちゃんはいあーん」
「自分で食べられるよ」
「えー別にいいじゃんー」
「はあ、」
先程からみずきちゃんが私にお菓子を食べさせようとしている。
でも恥ずかしいのですべて断っている。
「もう拗ねないで、あーん」
でも私がお菓子をあーんであげるとすぐに機嫌を治す。
「みなさーんもうすぐつきますよー」
同行者の朝倉さんがみんなにそう教えてくれる。
「どういう場所だろうね」
「でっかい宿舎があって温泉があるらしいよ!」
みずきちゃんが興奮してはしゃぐ。
「それにー、いつも合宿でたくさんのカップルができるんだって」
「へーそうなんだ。みずきちゃん彼氏作ったら?」
「え? 私はティアちゃんのものだよー。」
そう言って私に抱きついてくる。
それに私は軽くハグをして返す。
その後も他愛もないような話をしているとバスが停止した。
「じゃあみんなおりてー」
バスから降りて外を見渡す。
「すごく自然がいっぱいだね。空気が美味しいよ」
確かに空気が綺麗な気がする。
朝倉さんが先を進むのでそれについていく。
宿舎につくと一人一人の部屋番号が教えられる。
鍵を受け取って荷物を置きに行く。
この後は何人かの班を作って自由行動になるらしい。
早速みずきちゃんと一緒に班を作ろうとする。
「誰か一緒に組みませんか?」
私がそう聞くと男子がすごいよって来た。
「はいはーいじゃあこれから抽選で決めるからそこにならんでー」
それを見かねた朝倉さんがたくさんの割り箸を持って助けに来てくれた。
「助かりました。ありがとうございます」
「べつにかわいい生徒を助けるのはぁ先生であるぅ私の役割ですよぉ」
朝倉さんはそう言っていくつかのグループに分けて割り箸を引かせている。
「ティアちゃんすごい人気だね」
「みずきちゃんがこの前あんなことを言うからだよー」
「普通にティアちゃんが可愛いからじゃないかな?」
たしかにそれも一理ある。
数分待つとふたりの男子生徒が近づいてくる。
同じクラスの男子生徒で2人のことは知っていた。
「よろしくお願いします」
「よ、よろしく」
「よろしく」
ふたりが恥ずかしそうに挨拶をする。
「じゃあかいさーん。七時には戻れよー。ご飯の支度は当番制だからわかったねー。今日の夕飯の支度はえーと、じゃあシャルティアの班だ。頼んだぞ」
朝倉さんじゃない男の先生がそう切り出す。
「じゃあ今日は5時くらいで戻ってご飯を作りましょう」
「そうだな。俺火起こしできるぜ」
「俺野菜切るのは上手いからそれは任せてくれ」
「ティアちゃん私は普通に料理できるよ」
「じゃあ2人で調理をするから火の用意と野菜の下準備をお願いできるかな?」
「もちろん」
「完璧に作るよ」
2人の了承をとって料理の仕方も決まったので、自然探索をする。
「わー思ったよりも色んな動物がいるねー」
「ティアさん、リスがいますよ」
男子が自分の知識を披露するようにリスについて話し始める。
「へー、そうだったんですか。物知りなんですね。私そんなこと知りませんでした」
「私もだよー」
みずきちゃんも同意見のようでその後もいろんなことを聞く。
「あ、リスが肩に、」
話しているとリスが私の肩に乗ってきた。
「木のみ食べる?」
そこら辺にあった木のみを拾ってリスに渡す。
「器用に手で掴んで食べているね。ゴミがティアちゃんの方に落ちないように工夫してくれてるよ」
「利口な子なんだね。」
「ティアちゃんその子ペットにしたら?」
「みずきちゃん私にはもうペットはいるよ」
そう言ってみんなに帽子だと思われているサラに触る。
「えれ?それって帽子じゃないの?」
「そうだよ。サラ起きて、」
そういうとサラが帽子の形を崩して再び頭の上に乗る。
「ほんとに生きてる」
「いつもは目立たないようにマフラーか帽子にしてるんだよ」
みずきちゃんは心底驚いた顔をしている。
「ティアちゃんそれ触ってもいい?」
「みずきちゃんならいいよ。ほら」
みずきちゃんにサラを手渡す。
「案外柔らかくてあったかいね。ありがとう」
「どういたしましてー」
その後も適当に自然の中を歩きながら満喫して宿舎に戻った。
「今日は唐揚げとサラダを作ります」
しばらくしてエプロンを着てから今日の料理を決める。
鶏肉に麺つゆとニンニクと生姜を袋に入れてまぜあわせる。
その後に片栗粉を纏わせて油であげる。
「火加減が絶妙ですごくいいです。火起こしありがとうございます」
「そんな大層な事じゃないよ」
「とても上手いですよ」
そして出来上がった唐揚げをキッチンペーパーの上に置いてサラダの盛りつけに移る。
切ってもらった生ハムとアボカドとレタスを綺麗に整えてドレッシングを上からかける。
「もっと作った方がいいかな?」
「ティアちゃん、私は肉じゃがも食べたいな」
「肉じゃがかー、よし作ろう!」
早速肉じゃがの調理に移る。
(確か肉じゃがって煮るだけなのに女子力高いと思われるよね。なんでだろう?)
そんなことを考えながらじゃがいもと人参と牛肉と玉ねぎと、しらたきを切る。
その後鍋に醤油と砂糖と酒を煮詰めて、牛肉を入れて炒める。
次にじゃがいもと人参と玉ねぎとしらたきを入れて鍋に蓋をして20分ほど煮込む。
「ティアちゃん、私も味見していい?」
「まぁ少しだけならいいよ」
みずきちゃんがそう言ったので煮込んでいる時に使うものとは違うさいばしで適当に掴んでみずきちゃんの口に運ぶ。
「うーん美味しいよ!
ティアちゃん、私の嫁になって毎日ご飯作ってくれ!」
「嫁はダメだけど私の家に来ればみずきちゃんの分も作るよ?」
「ほんと!じゃあ今度から毎日行くね!」
「うんいいよ」
これから毎日みずきちゃんが家に来ることになった。
ちょうど食事の用意が終わった頃にほかの班が帰ってきた。
「「「いただきます」」」
そして食べ始める。
「む!おいしい!」
「本当だ!」
「ティアさんとみずきさんの手料理、素晴らしい!」
みんなが様々な感想を述べていく。
「みなさーん夜食の燻製肉ありますよー。後で欲しい人は取りに来てくださいねー」
みずきちゃんがなにかしていると思ったらそんなことをしていたらしい。
「みずきちゃん燻製作ってたんだ。後で私ももらっていいかな?」
「そういうと思って私たちのぶんはとっくに取ってあるのだ」
「ありがと!みずきちゃん」
そしてご飯を食べ終わり宿舎の温泉に入る。
「いやー気持ちいねー」
「どうかーん」
「あなた達本当にいい体型してるよね」
ほかの班の女の子が温泉で和んでいる私たちの体を見て言う。
「ふつうじゃなーいー?」
「いやいや普通そうならないよ」
「どんなことしてきたのよ」
そう私に問いかけてきた。
(魔物狩ってました。なんて言えないからなー)
「毎日適度な運動をしていたくらいかな」
「それでそこまで行くかなー?」
その後もいくつか話をして温泉から出る。
そして私の部屋でみずきちゃんと燻製を食べながら少し話して一日目は終わった。
転んだら転生したので異世界でやりたいことやります 凍てつけ @pocarice0228
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。転んだら転生したので異世界でやりたいことやりますの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます