ぼっち主人公はハーレム系主人公に勝てない

澤田晃太

第一章:リア充と非リア充とメインヒロインが出会うまで

サイドリア充:ハーレム系主人公は姉や妹にすらモテる

「お兄ちゃん、起きて!」


 朝。我が妹──二星にぼし結愛ゆあ──の第一声から、俺の一日は始まる。


「は~や~く~! 遅刻するよ~!」


 結愛がぷりぷりと怒りながら、俺から布団をガバッと引き剥がす。


「ちょ……、ちょっと! どういうことよ!?」

「あ? 何が?」


 まだ寝ぼけている声で、俺は結愛に聞き返す。

 そういえば、布団を引き剥がされたのに、俺の体にはまだ温もりがある。普通、布団を引き剥がされたら寒いはずなんだけどなぁ。

 それに、なんだろう。俺の左手に、ぷにぷにとやわらかい、抱き枕とは違う妙な感触がある。


「なんで……」


 これは……、もしかして、女性の……胸?

 随分と大きい、それにやわらかい。形もいい。こ、これは、ダメだとわかっていても、吸い寄せられるように、俺がその女性の胸のようなを揉みしだく手は止まらない。


「なんで、お姉ちゃんがお兄ちゃんと一緒に寝てるのよ!」


 結愛の叫び声で俺はパッと目を開ける。

 俺が先程まで揉んでいたのは、やはり女性の胸だった。それも、実の姉の。

 俺の姉──二星にぼし凛音りのん──は、何故か俺のベッドで寝ていた。

 俺が昨日寝る時は、俺一人だったはずなのに、いつ入ってきたんだ?

 凛音は、妙に色気のある雰囲気で、長い黒髪を揺らしながら寝ていた体を起こす。

 服装はキャミソールに短パンという、かなり無防備な格好。やけに強調されている胸の谷間に、俺の視線は釘付けになる。

 し、仕方ないだろう! これは男の性だ!


「おはよう、たく。あなた、いくら溜まっているからって、朝から激しすぎよ」

「ちょっとお姉ちゃん? 私に挨拶はなしですか?」

「択、溜まってるなら、遠慮せず私に言いなさい。いつでもご奉仕してあげるわ」

「無視すんなこのエロ姉!」

「あらごめんなさい結愛。そうよね、私のような魅惑的でエロいボディに比べると、あなたなんてミジンコ以下だものね。そりゃあ嫉妬もするわよね」

「嫉妬してるなんて一言も言ってないですけど!」

「態度に滲み出てるわ」


 何やら二人で言い争いを始めてしまった。


「二人とも、そこら辺にしとけよ」

「「お兄ちゃん(択)は黙ってて!!」」


 えぇ……。争いの原因は俺のはずだよね? それにしては俺の扱いひどくない?


「っていうか、お兄ちゃんもお兄ちゃんだよ! なんで実の姉のおっぱいをそんな揉み揉みしてるわけ!? おっぱいならなんでもいい変態さんなの?」

「違うわよね、択。あなたはがいいのよね?」

「そうなのお兄ちゃん!?」

「そんなわけないだろ!」


 でも確かに、おっぱいは好きだ。うん。これは否定できない。


「じゃあ、どうして択は、さっきから私の胸にあつ~い視線を送っているのかしら?」

「なっ!? ちがっ! こ、これは、男の性というやつで! 本能的なアレなわけで!」

「触りたいなら、触ってもいいのよ? さっきよりも、激しく」


 言いながら、凛音は両腕で自分の豊満な胸を持ち上げ、アピールしてくる。


「え、マジ?」

「えぇ。ほら、あなたの好きにしていいのよ?」


 凛音に甘い声で誘惑され、俺は理性を失って……


「ダメぇええええええ!! 絶対にダメぇえええええええええ!!」


 すんでのところで結愛が俺と凛音の間に割って入り、そこで俺も理性を取り戻す。

 自分の意志の弱さに反省する。最低だ、俺って。


「何やってんの? 姉弟だよ? やっていい事と悪い事があるよね!?」

「いいじゃない。本人達の同意の上なんだから」

「ダメ、絶対!」


 俺は顔を真っ赤にして怒る結愛の方を向き、


「すまん、ちょっと俺もどうかしてた。以後気をつける」

「金輪際こんなことがないように!」

「……はい。気をつけます」


 俺は正座し、深く反省の意を示す。


「えぇ……。私はウェルカムなのに」

「お姉ちゃんも反省しなさい!」


 そこで、俺は壁時計をチラと見る。それに釣られて、結愛と凛音も時計を見る。


「って、ヤッバ! こんなことしてる場合じゃないよ! 二人とも、早く学校行く準備して! ご飯はできてるから!」

「だな! 結愛、お前は先に学校行ってていいぞ! 後は俺と凛音に任せろ!」

「それはすごく心配だから無理!」

「……チッ」

「お姉ちゃん、舌打ちしない!」


 こうして、俺の慌ただしい一日が始まった。

 ……それにしても、なんで凛音は俺の部屋で寝ていたんだ?

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