第2話 (レン)
僕が作ったホムンクルスの少女は、なぜだかすごく僕に懐いてしまった。恋仲になりたいらしい。
正直、困る。血の繋がりはないっていったって、僕は親であり彼女は子だ。
ホムンクルスを作るのは、これが初めてじゃない。他の子はそんなことなかったのに、どうしてこの子だけ。
でもまあ、成長すればすぐに忘れてくれるだろう。幼児が言う「大人になったら結婚する」くらい不確かな約束はない。知っている人が僕しかいないから、僕に懐いているだけだ。
燃える家を背に、下山を始める。火の粉が風で舞い、森の木々に降りかかる。でも、山火事になる心配はないだろう。森に水が満ちている時期を選んだ。水をたくさん含んだ木々や草花は、炎に負けないはずだ。
少し悩んだけど、彼女がくれたヘビは家の中に置いたままだ。きっとこのまま、瓶は熱で溶けて中身も黒焦げになってしまうだろう。でも、これから旅に出るのだし、荷物は減らしておきたい。
それに、そんなものが手元にあったら、彼女との別れが惜しくなる。
ミライはなんの疑いもなく僕の手を握って、後をついてくる。その足取りはしっかりしている。本当は手なんか握らなくたって、自分で歩けるはずだ。
もう僕がいなくても大丈夫。この子はもうじき、僕の元を去る。それは、この子を作った時から決めていたことだ。
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