斗路看葉奈は見張りたい

他の地域よりも遅く紅葉狩りが出来る地方、そこの一都市に「花ヶ岡高等学校」は存在する。

この高校では《賀留多》の持ち込み、使用が暗に認められていた。

賀留多闘技の勝敗によって揉め事を解決する《札問い》、校内通貨をやり取り出来る打ち場《金花会》……しかしこれらは「公平」でなくてはならない。

この「公平」をもたらす為に、《目付役》という役職が置かれ、現在に至るまで花ヶ岡の賀留多文化を影から支えてきたのだ。

さて、今も一人の一年生が《目付役》になる事を志願した。

彼女の名は斗路看葉奈（とうじみはな）、賀留多の腕は優れていたが……。

すぐにメソメソとしてしまう、「泣き虫」なのであった。




この物語は、一人の少女が《目付役》の登用試験にメソメソとしつつも、必死に挑戦する記録である……。