第21話純粋
恵は、学校の帰り道で力を見つけたが他の女の子を連れて歩いていた。
恵と力は肉体関係にある。
自分が断られば良かったがあの優しい瞳に目眩がした。
狂ってしまったのかもしれない。
恵のお腹には小さい命が宿っていた。
恵は、メールで力を呼び出した。
ニコニコしながら待ち合わせ場所に力は来た。
「あのさ…わたし妊娠したんだけど。」
「…。俺の子?」
「当たり前じゃん!」
恵は、少し落胆した。
力もその程度なんだと思った。
「明日、二人でお父さん、お母さんに挨拶に行こう。」
え?
「責任?だから?」
「いや、恵の事、大好きだから。」
「父さん、母さん何て言うかな?」
「大丈夫だよ。これでも孝さんに重宝されてるから。」
力は、現場を体験中らしい。
未来の工場長か政治家になるのが約束されている。
「お父さん、お母さん好き?」
「うん…。」
唐突な力の言葉に恵は戸惑ってしまった。
「俺は?」
「大好きだよ。」
工場は、やっと落ち着いた。
圭介は、徹夜をしていた。
力の迅速な働きでウイルスはほとんど消滅したが殺傷した人間達には罪悪感しかなかった。
そんな時に力と恵が手を繋いで工場長室に現れた。
「お父さん、わたし妊娠したの。」
圭介の頭はくらくらした。
「僕の責任です。恵さんを幸せにします。どうか許して下さい。」
「わたしは、赤ちゃんを産みたい。」
「孝さんには聞いたのかい?」
「はい。凄く喜んでくれました。」
「じゃあ、恵も孝さんの家に住むと良いよ。」
逆の言葉しか出てこない。
「お父さん!許してくれるの?」
「ああ、家族が増えるのは大歓迎だよ。」
「ありがとう。」
「ありがとうございます。」
と言って二人は出て行った。
圭介の疲れはピークでそのままソファーで寝てしまった。
悪夢は見なかった。
久しぶりに心地よい眠りだった。
孝に起こされるまでは。
「子供だと思っていればやる事はちゃっかりやってるんだな。」
モニターを孝は、見ながら言った。
「家族が増えるのは良い事だと思います。」
「白々しい、お前も腸煮えくりかえっているんだろ?内心では。」
「半分は、ビックリしましたけど半分は幸せになって欲しいと願ってます。」
お前の綺麗事にはウンザリだとばかりに孝は、出て行った。
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